Papers - SOGABE Akitoshi
-
膝関節内反の有無と荷重負荷に対する下肢骨格・筋に関する研究
曽我部晋哉
2005.3
Single Work
【目的】
膝関節内反は、過去の研究から様々な傷害との関係が報告されている。しかしながら、下肢筋強化のトレーニングは、個人のアライメントを考慮して実施されていない。そのため、同様のトレーニングを行ってもアライメントの差異により、下肢の骨格、筋に及ぼす影響は異なる可能性がある。そこで本研究では、CKCトレーニング時の膝関節内反の有無による下肢への影響を筋硬度、筋電図、MRI、X線を用いて検討し、膝関節内反の有無による下肢のメカニズムを明らかにすることを目的とした。
【方法・結果】
研究課題1-1:膝関節内反の有無がレッグプレス後の下肢筋硬度変化に及ぼす影響
研究課題1-1では、正常膝群4名8脚、内反膝群6名12脚を対象として、ナロウ、ミディアム、ワイド(両足関節外果間距離それぞれ30cm、60cm、90cm、下肢内外旋0°、15°、30°)の3種のスタンスを用いてレッグプレスを行わせ、各スタンスでオールアウトきたした直後と試技前の筋硬度を比較した。内反膝群のナロウスタンスにおいて、VL(外側広筋)とTA(前脛骨筋)が正常膝群よりも有意に高値を示した。しかし、スタンスが広がるに従い低値を示した。
研究課題1-2:膝関節内反の有無がレッグプレス中の下肢筋活動量に及ぼす影響
研究課題1-2では、研究課題1-1の内反膝群の被験者1名を除く同様の被験者を対象とした。各被験者には、75%/1RMで課題1-1同様の3種類のスタンスでレッグプレスを行わせ、その時の%iEMGを比較した。また、大腿四頭筋の伸展時におけるVM(内側広筋)とVLの活動を比較するために、VMのiEMGをVLのiEMGで除したVM/VL比を算出した。内反膝群におけるSOL(ヒラメ筋)の%iEMGは、大腿筋群と同レベルまで活動し、ナロウ、ミディアムスタンスにおいては正常膝群よりも有意に高値を示した。しかし、ワイドスタンスを用いることで有意に低い値を示した。VM/VL比は、ナロウ、ミディアム、ワイドスタンスそれぞれ、正常膝群0.98、0.98、1.02、内反膝群2.19、1.78、1.79であった。内反膝群のVMは、VLよりも活動していることが分かった。
研究課題2-1:膝関節内反の有無と下肢筋横断面積の関連性
被験者は、12名の健常男性(正常膝群6名、内反膝群6名)を対象とした。MRIは、日立メディコ社製AIRISmate0.2Tを用い、T1強調像を得た。測定は、各被験者の左脚とし、仰臥位にて大腿骨および脛骨全体をスキャンした。得られた画像から、下肢各筋の横断面積を分析画像全体の筋横断面積で除し、横断面積に対する各筋の構成比を検討した。VMの割合は、正常膝群で25.1%、内反膝群で30.7%であり、有意な差がみられた。その他の筋には、有意差はみられなかった。大腿部において内反膝群は、正常膝群よりもVMの占める割合が大きいことが分かった。
研究課題2-2:膝関節の内反の有無と荷重負荷がスタンスの変化に伴うFTAに与える影響
被験者は、12名の健常男性(正常膝群6名、内反膝群6名)を対象とした。各被験者の左脚の膝蓋骨がX線フレームの中央、管球面から100cmとなるように立たせた。そして、4種類のスタンス(50%/肩幅、100%/肩幅、150%/肩幅、200%/肩幅)を使用し立位を保持させ、荷重時は体重と同じ重量のバーベルを担がせた。50%/肩幅、50%/肩幅荷重、100%/肩幅、100%/肩幅荷重、150%/肩幅、150%/肩幅荷重、200%/肩幅、200%/肩幅荷重時の左膝関節前後像を撮影し、その時のFTAを比較した。膝関節内反の有無に関わらず、200%/肩幅時に、自重時から荷重時にFTAが増加し有意差がみられた。つまり、膝関節の内反の有無に関わらず、200
%/肩幅での荷重では内反傾向がみられ、内反膝群ではより内反を助長することになる。
【考察】
下肢へのCKCトレーニングを行う際、膝関節の内反の有無により明らかに筋・骨格へ及ぼす影響は異なることが、以上の研究より明らかになった。膝関節内反を呈するにも関わらず、正常膝群と同様の下肢トレーニングを実施することで、目的とする効果が得られないばかりか、筋への局所負荷や内反を助長する可能性も示唆された。150%/肩幅のスタンスは、下腿への負荷も軽減し、膝関節内反を助長する傾向もみられないため、推奨される方法ではないかと考えられる。 -
Analysis of Different Tsurite Movements of Elite Judo Competitors. Invited
Akitoshi Sogabe, Taketo Sasaki, et.al.
Bulletin of the Association for the Scientific Studies on Judo,kodokan 10 65 - 75 2005.3
Joint Work
Authorship:Lead author
-
筋横断面積からみたVM/VL比の検討-膝関節内反の有無に着目して- Reviewed
曽我部晋哉、向井直樹、宮川俊平、高橋康輝、加藤守匡、目崎登
甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター論集 ( 15 ) 11 - 16 2005.3
Joint Work
Authorship:Lead author
膝関節内反の有無により、大腿四頭筋の内側広筋(VM)と外側広筋(VL)の筋横断面積に差異がみられるかを確認した。
-
オランダ柔道人の「柔道観」について-地域クラブの実践者を対象として- Reviewed
山崎俊輔、永木耕介、曽我部晋哉、岡田修一、薮根敏和、徳田眞三、賀屋光春
甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター論集 ( 15 ) 17 - 27 2005.3
Joint Work
オランダの柔道家の年配層と若年層を対象にアンケート調査から柔道観を比較した。
-
強豪高校柔道部のトレーニング環境および実施内容について Reviewed
曽我部晋哉、田中洋平、久保田浩史、小俣幸嗣
柔道科学研究 ( 9 ) 12 - 19 2004.3
Joint Work
Authorship:Lead author
全国大会に出場している高校柔道部を対象に、トレーニングに関する調査を実施し、その内容と環境について明らかにした。
-
全国中学校柔道大会出場選手の体力について-2000年~2002年の体力測定結果から- Reviewed
村山晴夫、小俣幸嗣、小山勝弘、清野哲也、中村勇、林弘典、曽我部晋哉、賀屋光春、久保田浩史
柔道科学研究 ( 9 ) 20 - 29 2004.3
Joint Work
全国中学校柔道大会の個人戦に出場している全選手の体力を測定し、体力と結果との相関関係等を分析し柔道ジュニア指導のための基礎データを分析した。
-
強豪高校柔道部における稽古及びトレーニングの実態報告 Reviewed
曽我部晋哉、田中洋平、久保田浩史、小俣幸嗣
柔道科学研究 ( 8 ) 27 - 31 2003
Joint Work
Authorship:Lead author
全国大会に出場している高校柔道部を対象に、トレーニングに関する調査を実施し、現状を明らかにした。
-
Prediction of Maximal Strength in The Isotonic Supine Bench Press Using a &RM Training Method in Judo Players Reviewed
Tetsuya Seino, Katsuhiro Koyama, Akitoshi Sogabe, Yuji Ozawa, Atsuo Kasugai
Research Journal of Budo 36 ( 2 ) 1 - 11 2003
Joint Work
-
Genu varum affecting muscle hardness in the lower limb after legpress exercise. Reviewed
Akitoshi Sogabe, Naoki Mukai, et.al.
The journal of Japanese Society of Clinical Sports Medicine. 11 ( 3 ) 518 - 525 2003
Joint Work
Authorship:Lead author
-
A genu varum effects on each lower extremity muscle activity during leg press exercise Reviewed
Akitoshi Sogabe, Naoki Mukai, et.al.
The Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine 52 ( 3 ) 275 - 284 2003
Joint Work
Authorship:Lead author
-
鍼灸治療啓蒙のための教育プログラム作成とその適用効果 Reviewed
寺田和史、和田恒彦、小松崎敏、金内香乃 加藤祐介、叔淼、曽我部晋哉、宮本俊和、濱田淳
理療の科学 24 ( 1 ) 70 - 77 2001.3
Joint Work
鍼治療の受療経験のない若年層に対し、鍼治療に関する知識の形成を目的とした教育プログラムを開発し、その適用によりどのような意識の変化が見られるのかを検討した。