Papers - OKAMURA Ei
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学校と地域との連携の意義―公立中学校における事例をもとに―
岡邑衛
甲南大学教職教育センター年報・研究報告書2024年度 37 - 47 2025.3
Single Work
Publisher:甲南大学教職教育センター
「チームとしての学校」というスローガンが掲げられ、「開かれた学校」への転換が求められている。このことについて、本稿では、第1に、この背景には、教育問題の多様化と学校教員の多忙化、さらには、教育課程行政の地方分権化を認めることができることを明らかにした。第2に、「チームとしての学校」がうまく機能することで、子どもたちがエンパワーされることが期待できると考えられた。第3に、専門性資本論の観点から、「チームとしての学校」が機能することは教員の社会関係資本の増大し、その結果、教員は成長すると考えられた。第4に、学校と地域社会との関係を、事例を基に考察し、「チームとしての学校」の実現が教員と生徒に時間的な余裕を生むと同時に、地域住民と生徒との間に生まれた良い関係性が、生徒の教育に良い影響を与えることが考えられた。これらの社会関係資本の構築、すなわち「チームとしての学校」の実現は多忙化の要因になるかもしれず、また、働き方改革という観点から敬遠されるかもしれない。しかし、長い目で見たときにそれは実現されるべきことがらであると考えられた。
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若手教師の成長しづらさ
岡邑衛
若手教師の成長 2023-2024年度調査 68 - 81 2025.3
Single Work
Publisher:教職キャリア研究会
専門性資本論に依拠し、若手教員の成長をめぐり、とくに社会関係資本に着目してインタビュー調査の分析をおこなった。第1に、若手教員の人的資本や個人財としての社会関係資本が以前よりも減少しているということを、管理職をはじめとする年長教員が認識していた。第2に、これらの背景には、学校現場では対応できない教員の質の低下のほか、若手教員の「真面目さ」が要因として語られた。第3に、若手教員に年齢の近い先輩教員に相談しづらい状況が明らかになった。
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中学生の校内清掃活動への積極性が教師からの評価に与える影響(査読付) Reviewed
鈴木翔・歌川光一・岡邑衛
日本特別活動学会紀要 ( 33 ) 59 - 68 2025.3
Joint Work
Publisher:日本特別活動学会
本稿の目的は、どのような中学生が校内清掃活動に積極的に参加しているのか、そして校内清掃活動に積極的に参加している生徒が、教師からどのように評価されているのかを明らかにすることである。第一の知見は、男女ともに「誠実性」が高く、「外的魅力」が低い生徒ほど、清掃活動に積極的に取り組んでいる。また、女子のみ「活発性」が高い生徒ほど、清掃活動に積極的に取り組んでいる。第二の知見は、男女ともに清掃活動への積極性の高さは、他の教育活動への積極性を統制した上でも、教師からの評価に正の影響を与えている。ただし、影響の大きさはどのような生徒であるかによって異なる。
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発達支持的生徒指導をめぐる養護教諭の意識と実践(査読付)
岡邑衛・吉村知容
千里金蘭大学紀要 ( 20 ) 1 - 9 2024.3
Single Work
Publisher:千里金蘭大学
2022(2022)年12月に改訂された生徒指導提要に示された「発達支持的生徒指導」は、生徒指導の基盤と言っても過言ではない。また、「チームとしての学校」が叫ばれる中、生徒指導における養護教諭の重要性は増しつつある。しかしながら、発達支持的生徒指導を実施するうえでの、養護教諭が果たす役割は明確にされてこなかった。本稿では、発達支持的生徒指導を実施する養護教諭の割合、意識、実践についてアンケート及びインタビューデータを分析した。分析の結果、第1に発達支持的生徒指導を最も実施しているという養護教諭の割合は35%程度に留まること、第2にそれらの養護教諭は保健室の中では見えてこない生徒指導上の問題への省察から、保健室の外に出ようという意識を持つようになったこと、第3にそのような指導ができるかどうかは教職員間のコミュニケーションの度合いや養護教諭の仕事量によるが、それらの課題を克服しようとしていることが見出された。
岡邑衛・吉村知容
担当範囲:Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ(4-2-1,4-2-3),Ⅴ -
中学校吹奏楽部指導者に求められる資質・能力―部活動の地域移行をめぐって―
岡邑衛
音楽文化の創造 ( 24 ) 1 - 6 2023.4
Single Work
Publisher:音楽文化創造
2023年度より段階的に開始される中学校部活動の地域移行をめぐって、吹奏楽部の指導者に必要な資質・能力として、教育的愛情、人間性、人権感覚、教育的鑑識眼、音楽的・教育的知識・技能、調整力、マネジメント力を挙げた。この資質・能力は教員に求められるものと重なっており、これらを全て教員以外の人材に求めるのは現実的ではなく、教員の負担を軽減しつつ現状の部活動を維持するならば、教員を増やし学校教育の一環として部活を継続することが現実的であり、一方で、教員の力を借りない部活動を想定するならば、全く新しい部活動の絵を描く必要があることを指摘した。
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東日本大震災被災地における若者のライフコース(査読付) Reviewed
鈴木勇・山本晃輔・岡邑衛・榎井縁・志水宏吉・高原耕平・宮前良平
未来共創 ( 10 ) 3 - 41 2023.3
Joint Work
Publisher:大阪大学 未来共創センター
東日本大震災の被災地である過疎地域の若者への調査分析の結果、第1に、彼らの「幸福」は、本人の職業選択と地域コミュニティへの参加の程度にもよると考えられた。第2に、若者は「地域愛着」「人間関係」「自己実現(就労)」の 3つの理由から条件困難地域を居住地に選んでいることがわかった。第3に、若者は震災からの復興の過程において、地域住民とのコミュニケーションを通して、今日的なコミュニティを形成する構成員となり、ソーシャルな課題と自己実現の両方に取り組んでいると考えられた。
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コロナ禍における学校教育の実践に関する一考察―ある公立小学校の特別活動の実践事例から―
岡邑衛・吉田慶子
研究紀要 ( 1 ) 24 - 30 2022.3
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:兵庫県人権教育研究協議会
新型コロナウイルスによって、さまざまな制限が発生する学校現場での教育実践は何をもたらしたのか。本稿は、学校現場での研究が制限される中、現職の教師の実践報告を基にコロナ禍における学校教育の意義の一端を明らかにしようとするものである。実践の記録、その考察からは、特別活動がコロナ禍の生活で「分断」される子どもたちを繋ぎとめる場になりうる可能性が示唆された。
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社会関係資本が若手教師の成長に与える影響に関する一考察―「専門性資本論」に着目して―(査読付)
岡邑衛
甲子園大学紀要 ( 49 ) 7 - 15 2022.3
Single Work
Publisher:甲子園大学
「専門性資本」論に着目し、質問紙調査の分析を通して、若手教師の成長に対する社会関係資本の影響について検討した。まず、集合財としての社会関係資本から独立して、個人財としての社会関係資本は人的資本や意思決定資本に影響を与えていた。次に、職場環境要因を4因子にわけたところ、職場に相談できる人がいることを示す因子が書く資本にマイナスの影響を、一方で、職場貢献を実感していることを示す因子はプラスの影響を与えることが明らかになった。
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日本型STEAM教育の「総合的な学習(探究)の時間化」をめぐる実態と課題(査読付) Reviewed
杉山昂平・岡邑衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 49 ) 17 - 25 2022.3
Joint Work
Publisher:甲子園大学
米国発のSTEAM教育が世界に普及する過程で、日本の教育政策がSTEAM教育をどのようにローカライズしているかを分析した。その結果、日本型のSTEAM教育は「総合的な学習(探求)の時間化」していることが明らかになった。これは、一方で日本型STEAM教育はSTEAM教育ならではの特徴が明確ではなく、今後、この課題を克服するカリキュラムの検討が求められる
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中学校における「総合的な学習の時間」を核としたカリキュラム・マネジメントの現状
岡邑衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 47 ) 41 - 44 2020.3
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:甲子園大学
中学校における「総合的な学習の時間」を中心としたカリキュラム・マネジメントの現状について、その背景と先行研究の分析を行った。その結果、中学校には、小学校や高等学校との接続に起因する独自の問題があり、また、教科担任制を基本とする中学校教師にとって、他教科の教員と連携することによる負担があることがこれまで明らかにされてきたことを示した。今後、カリキュラム・マネジメントが生徒に与える影響だけでなく、教員に与える影響についても検討してく必要性を示した。
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中学時の特別活動の参加経験と学級生活の関連性に関する検討―全国の大学生を対象にした質問紙調査の分析から―
鈴木翔・歌川光一・岡邑 衛・中村豊
秋田大学教養基礎教育研究年報 ( 21 ) 55 - 65 2019.3
Publisher:秋田大学
全国の大学生を対象にした、中学時の特別活動の参加経験と学級生活の関連性についての質問紙調査の分析を実施した。その結果、対人関係に関わるコミュニケーションの類型として、「自己中型」「バランス型」「無関心型」「同調型」にまとめることができた。さらに、特別活動の経験がこれらの類型に与える影響を分析したところ、すべての特別活動の経験が「バランス型」に有意な影響を与えていることを確認した。
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生徒指導で育まれる社会的リテラシーに関する研究―大学生を対象とした予備調査から―(査読付) Reviewed
中村 豊・歌川光一・岡邑 衛・鈴木翔
東京理科大学教職教育研究 (第4号),23-29頁(東京理科大学) ( 4 ) 23 - 29 2019.3
Joint Work
Publisher:東京理科大学
学校教育における文化的行事についての全国調査結果を基に、自由記述の分析を実施した。その結果、意義に関しては、文化的行事は「学習成果の発表の場であること」、演劇は「表現力を高めること」に関する記述が多く、一方、課題に関しては「時間の確保」に関する記述が多かった。特別活動における文化的行事が、様々な時間的制約の中で精選されつつある現在、意義あるものであると実感している回答者の声を整理する意味は大きいと考えられた。
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生徒指導上の問題としての援助交際再考(査読付) Reviewed
歌川光一・鈴木翔・岡邑衛・佐々木基裕
学苑 ( 936 ) 55 - 58 2018.10
Joint Work
Publisher:昭和女子大学近代文化研究所
2000年前後に議論された援助交際について、学校現場ではどのように捉えられていたのか、『月刊生徒指導』における言説の分析をおこなった。その結果、その内容は、①人間関係の希薄化を埋めるもの、心の問題としての援助交際、②情報化の影響のひとつとしての援助交際、③大人に価値観の変革を迫るものとしての援助交際、④経済的な理由による援助交際、⑤マスコミによる操作結果としての援助交際の5つに集約され、それぞれが複雑に関係していることが明らかになった。
歌川光一・鈴木翔・岡邑衛・佐々木基裕 -
特色ある小規模校が取る対応―甲子園大学の再課程認定への取り組み―
岡邑衛
阪神教協リポート ( 42 ) 43 - 49 2018.4
Single Work
Publisher:阪神地区私立大学教職課程研究連絡協議会
特色ある小規模校による再課程認定に向けての取り組みを、甲子園大学を事例に挙げ論じた。再課程認定に向けての準備の課程で、単位数の問題、および新たに加えられる予定の科目をどのように組み込むかという問題について述べた。また、小規模大学の特徴として、再課程認定に取り組み始める時期が遅くなりがちであること、取り組みを実施する職員がそのほかの業務と並行しての作業となること、さらに教員数が少ないことが、再課程認定への取り組みを難しくしている実態を描いた。
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学芸会ならびに文化的行事の意義や課題
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 116 - 121 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
「文化的行事に関する全国調査」の調査結果をもとに、学芸会並びに文化的行事の意義と課題について、テキストマイニングソフトを使用し、記述分析を実施した。意義としては「学習成果の発表の場であること」「表現力を高めること」「他者との協力を通して達成感が得られること」が析出され、課題としては「時間の確保」「行事の精選」「教員の指導力」が析出された。
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高校生のコミュニケーション能力を育む学級集団に関する一考察―特別活動が目指す「望ましい集団活動」を視野に入れて―
岡邑 衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 45 ) 1 - 6 2018.3
Authorship:Lead author Publisher:甲子園大学
大学生へのアンケート調査分析を通して、高校生のコミュニケーション能力はいかなる集団で育成されるのかを明らかにすることを目的として、大学生へのアンケート調査を実施、分析した。分析の結果、第一に、高校生は学級内に小集団を形成していること、第二に、彼らのコミュニケーション能力は学級内のカーストによって異なっていると思われること、しかしながら第三に、そのカーストによって自分の意見を発現する機会は制限されていることが明らかになった。すなわち、いかに高いコミュニケーション能力が個人に備わっていたとしても、学級内カーストによってそれを発揮する機会が制限されうるということが明らかになり、同時に、機会を制限される学級内カーストが低い生徒たちは学校をつまらないものとして捉えている可能性が見出された。
岡邑 衛・歌川光一
担当範囲:2,3節分担執筆 -
教師教育における文化的行事の意義に関する一考察―高等学校における演劇教育を事例に―
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 242 - 252 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
教員に必要な資質・能力を育成する手段としての演劇教育の可能性について論じた。兵庫県立宝塚北高等学校演劇科における参与観察、福島県立いわき総合高等学校、追手門学院高等学校で実施されている演劇教育についてのインタビュー調査を実施し、演劇で培われるコミュニケーション能力が、現在教師に求められる資質・能力と重なることを明らかにし、教師教育に対する新たな知見を提供した。
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戦後から1970年代頃までの学芸会の状況
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 44 - 60 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
1960年代、1970年代に実施された学芸会に関する全国調査をもとに、当時の学芸会の実態分析を実施した。具体的には、調査の背景、学芸的行事の実施率、学芸的行事の実施頻度、文化的行事の内容、文化的行事の名称、文化的行事の実施頻度、開催時期、開催場所、上演種目の出典、時間の確保方法、発表当日の観覧者、参観保護者の対児童生徒割合、校区の関心度について、学校種別、地方別に比較分析をおこなった。
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宝塚市立宝梅中学校の文化発表会
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 187 - 198 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
宝塚市立宝梅中学校で実施されている文化発表会 について、参与観察を実施し、エスノグラフィーの記述を試みた。とくに学年劇に焦点を当てた結果、学年劇が始まった歴史や生徒の主体性を育てる様々な仕組みが伝統的に根付いていることが明らかになった。
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学校教育における文化的行事の教育的意義と課題 Reviewed
中村豊・岡邑衛
東京理科大学教職教育研究 ( 3 ) 3 - 12 2018.2
Joint Work
Publisher: 東京理科大学
学校教育における文化的行事についての全国調査結果を基に、自由記述の分析を実施した。その結果、意義に関しては、文化的行事は「学習成果の発表の場であること」、演劇は「表現力を高めること」に関する記述が多く、一方、課題に関しては「時間の確保」に関する記述が多かった。特別活動における文化的行事が、様々な時間的制約の中で精選されつつある現在、意義あるものであると実感している回答者の声を整理する意味は大きいと考えられた。