Papers - OKAMURA Ei
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学校と地域との連携の意義―公立中学校における事例をもとに―
岡邑衛
甲南大学教職教育センター年報・研究報告書2024年度 37 - 47 2025.3
Single Work
Publisher:甲南大学教職教育センター
「チームとしての学校」というスローガンが掲げられ、「開かれた学校」への転換が求められている。このことについて、本稿では、第1に、この背景には、教育問題の多様化と学校教員の多忙化、さらには、教育課程行政の地方分権化を認めることができることを明らかにした。第2に、「チームとしての学校」がうまく機能することで、子どもたちがエンパワーされることが期待できると考えられた。第3に、専門性資本論の観点から、「チームとしての学校」が機能することは教員の社会関係資本の増大し、その結果、教員は成長すると考えられた。第4に、学校と地域社会との関係を、事例を基に考察し、「チームとしての学校」の実現が教員と生徒に時間的な余裕を生むと同時に、地域住民と生徒との間に生まれた良い関係性が、生徒の教育に良い影響を与えることが考えられた。これらの社会関係資本の構築、すなわち「チームとしての学校」の実現は多忙化の要因になるかもしれず、また、働き方改革という観点から敬遠されるかもしれない。しかし、長い目で見たときにそれは実現されるべきことがらであると考えられた。
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若手教師の成長しづらさ
岡邑衛
若手教師の成長 2023-2024年度調査 68 - 81 2025.3
Single Work
Publisher:教職キャリア研究会
専門性資本論に依拠し、若手教員の成長をめぐり、とくに社会関係資本に着目してインタビュー調査の分析をおこなった。第1に、若手教員の人的資本や個人財としての社会関係資本が以前よりも減少しているということを、管理職をはじめとする年長教員が認識していた。第2に、これらの背景には、学校現場では対応できない教員の質の低下のほか、若手教員の「真面目さ」が要因として語られた。第3に、若手教員に年齢の近い先輩教員に相談しづらい状況が明らかになった。
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中学生の校内清掃活動への積極性が教師からの評価に与える影響(査読付) Reviewed
鈴木翔・歌川光一・岡邑衛
日本特別活動学会紀要 ( 33 ) 59 - 68 2025.3
Joint Work
Publisher:日本特別活動学会
本稿の目的は、どのような中学生が校内清掃活動に積極的に参加しているのか、そして校内清掃活動に積極的に参加している生徒が、教師からどのように評価されているのかを明らかにすることである。第一の知見は、男女ともに「誠実性」が高く、「外的魅力」が低い生徒ほど、清掃活動に積極的に取り組んでいる。また、女子のみ「活発性」が高い生徒ほど、清掃活動に積極的に取り組んでいる。第二の知見は、男女ともに清掃活動への積極性の高さは、他の教育活動への積極性を統制した上でも、教師からの評価に正の影響を与えている。ただし、影響の大きさはどのような生徒であるかによって異なる。
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発達支持的生徒指導をめぐる養護教諭の意識と実践(査読付)
岡邑衛・吉村知容
千里金蘭大学紀要 ( 20 ) 1 - 9 2024.3
Single Work
Publisher:千里金蘭大学
2022(2022)年12月に改訂された生徒指導提要に示された「発達支持的生徒指導」は、生徒指導の基盤と言っても過言ではない。また、「チームとしての学校」が叫ばれる中、生徒指導における養護教諭の重要性は増しつつある。しかしながら、発達支持的生徒指導を実施するうえでの、養護教諭が果たす役割は明確にされてこなかった。本稿では、発達支持的生徒指導を実施する養護教諭の割合、意識、実践についてアンケート及びインタビューデータを分析した。分析の結果、第1に発達支持的生徒指導を最も実施しているという養護教諭の割合は35%程度に留まること、第2にそれらの養護教諭は保健室の中では見えてこない生徒指導上の問題への省察から、保健室の外に出ようという意識を持つようになったこと、第3にそのような指導ができるかどうかは教職員間のコミュニケーションの度合いや養護教諭の仕事量によるが、それらの課題を克服しようとしていることが見出された。
岡邑衛・吉村知容
担当範囲:Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ(4-2-1,4-2-3),Ⅴ -
中学校吹奏楽部指導者に求められる資質・能力―部活動の地域移行をめぐって―
岡邑衛
音楽文化の創造 ( 24 ) 1 - 6 2023.4
Single Work
Publisher:音楽文化創造
2023年度より段階的に開始される中学校部活動の地域移行をめぐって、吹奏楽部の指導者に必要な資質・能力として、教育的愛情、人間性、人権感覚、教育的鑑識眼、音楽的・教育的知識・技能、調整力、マネジメント力を挙げた。この資質・能力は教員に求められるものと重なっており、これらを全て教員以外の人材に求めるのは現実的ではなく、教員の負担を軽減しつつ現状の部活動を維持するならば、教員を増やし学校教育の一環として部活を継続することが現実的であり、一方で、教員の力を借りない部活動を想定するならば、全く新しい部活動の絵を描く必要があることを指摘した。
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東日本大震災被災地における若者のライフコース(査読付) Reviewed
鈴木勇・山本晃輔・岡邑衛・榎井縁・志水宏吉・高原耕平・宮前良平
未来共創 ( 10 ) 3 - 41 2023.3
Joint Work
Publisher:大阪大学 未来共創センター
東日本大震災の被災地である過疎地域の若者への調査分析の結果、第1に、彼らの「幸福」は、本人の職業選択と地域コミュニティへの参加の程度にもよると考えられた。第2に、若者は「地域愛着」「人間関係」「自己実現(就労)」の 3つの理由から条件困難地域を居住地に選んでいることがわかった。第3に、若者は震災からの復興の過程において、地域住民とのコミュニケーションを通して、今日的なコミュニティを形成する構成員となり、ソーシャルな課題と自己実現の両方に取り組んでいると考えられた。
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コロナ禍における学校教育の実践に関する一考察―ある公立小学校の特別活動の実践事例から―
岡邑衛・吉田慶子
研究紀要 ( 1 ) 24 - 30 2022.3
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:兵庫県人権教育研究協議会
新型コロナウイルスによって、さまざまな制限が発生する学校現場での教育実践は何をもたらしたのか。本稿は、学校現場での研究が制限される中、現職の教師の実践報告を基にコロナ禍における学校教育の意義の一端を明らかにしようとするものである。実践の記録、その考察からは、特別活動がコロナ禍の生活で「分断」される子どもたちを繋ぎとめる場になりうる可能性が示唆された。
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社会関係資本が若手教師の成長に与える影響に関する一考察―「専門性資本論」に着目して―(査読付)
岡邑衛
甲子園大学紀要 ( 49 ) 7 - 15 2022.3
Single Work
Publisher:甲子園大学
「専門性資本」論に着目し、質問紙調査の分析を通して、若手教師の成長に対する社会関係資本の影響について検討した。まず、集合財としての社会関係資本から独立して、個人財としての社会関係資本は人的資本や意思決定資本に影響を与えていた。次に、職場環境要因を4因子にわけたところ、職場に相談できる人がいることを示す因子が書く資本にマイナスの影響を、一方で、職場貢献を実感していることを示す因子はプラスの影響を与えることが明らかになった。
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日本型STEAM教育の「総合的な学習(探究)の時間化」をめぐる実態と課題(査読付) Reviewed
杉山昂平・岡邑衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 49 ) 17 - 25 2022.3
Joint Work
Publisher:甲子園大学
米国発のSTEAM教育が世界に普及する過程で、日本の教育政策がSTEAM教育をどのようにローカライズしているかを分析した。その結果、日本型のSTEAM教育は「総合的な学習(探求)の時間化」していることが明らかになった。これは、一方で日本型STEAM教育はSTEAM教育ならではの特徴が明確ではなく、今後、この課題を克服するカリキュラムの検討が求められる
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中学校における「総合的な学習の時間」を核としたカリキュラム・マネジメントの現状
岡邑衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 47 ) 41 - 44 2020.3
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:甲子園大学
中学校における「総合的な学習の時間」を中心としたカリキュラム・マネジメントの現状について、その背景と先行研究の分析を行った。その結果、中学校には、小学校や高等学校との接続に起因する独自の問題があり、また、教科担任制を基本とする中学校教師にとって、他教科の教員と連携することによる負担があることがこれまで明らかにされてきたことを示した。今後、カリキュラム・マネジメントが生徒に与える影響だけでなく、教員に与える影響についても検討してく必要性を示した。
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中学時の特別活動の参加経験と学級生活の関連性に関する検討―全国の大学生を対象にした質問紙調査の分析から―
鈴木翔・歌川光一・岡邑 衛・中村豊
秋田大学教養基礎教育研究年報 ( 21 ) 55 - 65 2019.3
Publisher:秋田大学
全国の大学生を対象にした、中学時の特別活動の参加経験と学級生活の関連性についての質問紙調査の分析を実施した。その結果、対人関係に関わるコミュニケーションの類型として、「自己中型」「バランス型」「無関心型」「同調型」にまとめることができた。さらに、特別活動の経験がこれらの類型に与える影響を分析したところ、すべての特別活動の経験が「バランス型」に有意な影響を与えていることを確認した。
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生徒指導で育まれる社会的リテラシーに関する研究―大学生を対象とした予備調査から―(査読付) Reviewed
中村 豊・歌川光一・岡邑 衛・鈴木翔
東京理科大学教職教育研究 (第4号),23-29頁(東京理科大学) ( 4 ) 23 - 29 2019.3
Joint Work
Publisher:東京理科大学
学校教育における文化的行事についての全国調査結果を基に、自由記述の分析を実施した。その結果、意義に関しては、文化的行事は「学習成果の発表の場であること」、演劇は「表現力を高めること」に関する記述が多く、一方、課題に関しては「時間の確保」に関する記述が多かった。特別活動における文化的行事が、様々な時間的制約の中で精選されつつある現在、意義あるものであると実感している回答者の声を整理する意味は大きいと考えられた。
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生徒指導上の問題としての援助交際再考(査読付) Reviewed
歌川光一・鈴木翔・岡邑衛・佐々木基裕
学苑 ( 936 ) 55 - 58 2018.10
Joint Work
Publisher:昭和女子大学近代文化研究所
2000年前後に議論された援助交際について、学校現場ではどのように捉えられていたのか、『月刊生徒指導』における言説の分析をおこなった。その結果、その内容は、①人間関係の希薄化を埋めるもの、心の問題としての援助交際、②情報化の影響のひとつとしての援助交際、③大人に価値観の変革を迫るものとしての援助交際、④経済的な理由による援助交際、⑤マスコミによる操作結果としての援助交際の5つに集約され、それぞれが複雑に関係していることが明らかになった。
歌川光一・鈴木翔・岡邑衛・佐々木基裕 -
特色ある小規模校が取る対応―甲子園大学の再課程認定への取り組み―
岡邑衛
阪神教協リポート ( 42 ) 43 - 49 2018.4
Single Work
Publisher:阪神地区私立大学教職課程研究連絡協議会
特色ある小規模校による再課程認定に向けての取り組みを、甲子園大学を事例に挙げ論じた。再課程認定に向けての準備の課程で、単位数の問題、および新たに加えられる予定の科目をどのように組み込むかという問題について述べた。また、小規模大学の特徴として、再課程認定に取り組み始める時期が遅くなりがちであること、取り組みを実施する職員がそのほかの業務と並行しての作業となること、さらに教員数が少ないことが、再課程認定への取り組みを難しくしている実態を描いた。
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学芸会ならびに文化的行事の意義や課題
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 116 - 121 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
「文化的行事に関する全国調査」の調査結果をもとに、学芸会並びに文化的行事の意義と課題について、テキストマイニングソフトを使用し、記述分析を実施した。意義としては「学習成果の発表の場であること」「表現力を高めること」「他者との協力を通して達成感が得られること」が析出され、課題としては「時間の確保」「行事の精選」「教員の指導力」が析出された。
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高校生のコミュニケーション能力を育む学級集団に関する一考察―特別活動が目指す「望ましい集団活動」を視野に入れて―
岡邑 衛・歌川光一
甲子園大学紀要 ( 45 ) 1 - 6 2018.3
Authorship:Lead author Publisher:甲子園大学
大学生へのアンケート調査分析を通して、高校生のコミュニケーション能力はいかなる集団で育成されるのかを明らかにすることを目的として、大学生へのアンケート調査を実施、分析した。分析の結果、第一に、高校生は学級内に小集団を形成していること、第二に、彼らのコミュニケーション能力は学級内のカーストによって異なっていると思われること、しかしながら第三に、そのカーストによって自分の意見を発現する機会は制限されていることが明らかになった。すなわち、いかに高いコミュニケーション能力が個人に備わっていたとしても、学級内カーストによってそれを発揮する機会が制限されうるということが明らかになり、同時に、機会を制限される学級内カーストが低い生徒たちは学校をつまらないものとして捉えている可能性が見出された。
岡邑 衛・歌川光一
担当範囲:2,3節分担執筆 -
教師教育における文化的行事の意義に関する一考察―高等学校における演劇教育を事例に―
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 242 - 252 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
教員に必要な資質・能力を育成する手段としての演劇教育の可能性について論じた。兵庫県立宝塚北高等学校演劇科における参与観察、福島県立いわき総合高等学校、追手門学院高等学校で実施されている演劇教育についてのインタビュー調査を実施し、演劇で培われるコミュニケーション能力が、現在教師に求められる資質・能力と重なることを明らかにし、教師教育に対する新たな知見を提供した。
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戦後から1970年代頃までの学芸会の状況
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 44 - 60 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
1960年代、1970年代に実施された学芸会に関する全国調査をもとに、当時の学芸会の実態分析を実施した。具体的には、調査の背景、学芸的行事の実施率、学芸的行事の実施頻度、文化的行事の内容、文化的行事の名称、文化的行事の実施頻度、開催時期、開催場所、上演種目の出典、時間の確保方法、発表当日の観覧者、参観保護者の対児童生徒割合、校区の関心度について、学校種別、地方別に比較分析をおこなった。
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宝塚市立宝梅中学校の文化発表会
岡邑衛
学校教育における文化的行事の研究 187 - 198 2018.3
Single Work
Publisher:文化的行事研究会
宝塚市立宝梅中学校で実施されている文化発表会 について、参与観察を実施し、エスノグラフィーの記述を試みた。とくに学年劇に焦点を当てた結果、学年劇が始まった歴史や生徒の主体性を育てる様々な仕組みが伝統的に根付いていることが明らかになった。
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学校教育における文化的行事の教育的意義と課題 Reviewed
中村豊・岡邑衛
東京理科大学教職教育研究 ( 3 ) 3 - 12 2018.2
Joint Work
Publisher: 東京理科大学
学校教育における文化的行事についての全国調査結果を基に、自由記述の分析を実施した。その結果、意義に関しては、文化的行事は「学習成果の発表の場であること」、演劇は「表現力を高めること」に関する記述が多く、一方、課題に関しては「時間の確保」に関する記述が多かった。特別活動における文化的行事が、様々な時間的制約の中で精選されつつある現在、意義あるものであると実感している回答者の声を整理する意味は大きいと考えられた。
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小中学校における「友達」をめぐる顕在的カリキュラムの検討―道徳の読み物教材に描かれる友情―
歌川光一・岡邑 衛
昭和女子大学現代教育研究所紀要 ( 3 ) 75 - 84 2017.12
Joint Work
Publisher:昭和女子大学
小中学校における「友達」をめぐる顕在的カリキュラムとして、道徳の読み物教材を分析した。その結果、「友達」と学級、学校の結びつきの自明性の揺らぎを背景人、単元として明確に「友情」を掲げる道徳は、その趣旨としては「友達」の範囲を学校に限定してはないものの、読み物教材においては、特別活動との関連が強く意識されていること等が主な原因となって、学級が同じであることと友達であることの環境や場に応じた友達との距離感、友情が芽生えるプロセスが見えづらい状況を確認することができた。
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特別活動の指導法における教材活用の一視点―児童会・生徒会活動理解に向けた映画版『コクリコ坂から』の活用方法をめぐって―(査読付) Reviewed
歌川光一・岡邑 衛
学苑 ( 924 ) 23 - 37 2017.10
Joint Work
Publisher:昭和女子大学近代文化研究所
主権者教育や市民性教育の重要性が高まりつつある現在、教職課程を履修する学生らは、過去の学校生活において児童会活動や生徒会活動を体験した記憶を持っているものは少ない。そのような教員志望学生に対する特別活動の指導法として、映画版『コクリコ坂から』を活用する方法の可能性について論じた。
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初任期教員の入職前の経験が力量形成に与える影響
岡邑衛
甲子園大学紀要 ( 44 ) 7 - 16 2017.3
Single Work
Publisher:甲子園大学
大阪府下の小中学校の初任期教員に実施した教員の力量形成に関するアンケート調査の分析結果の一部である。講師経験と「生徒指導に関する力量認識」等の伸びに関して分析し、初任期教員小学校では「モデルになる人」がいること、中学校では「他の授業を自由に見学」できる環境があることについて、講師経験の長さによって、それらの職場環境から受ける影響の大きさが違うことが明らかになった。
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初任期教員が直面する課題と課題解決過程の振り返りにみる教員の力量形成
岡邑衛、島善信、米川英樹、菱田準子
教育実践研究 ( 10 ) 11 - 15 2016.10
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:大阪教育大学教職教育研究センター
大阪府下の小中学校の初任期教員に実施した教員の力量形成に関するアンケート調査の分析結果の一部である。職場環境と「生徒指導に関する力量認識」等の伸びとの関係に関して分析し、小学校では「モデルになる人」がいること、中学校では「他の授業を自由に見学」できる環境があることが最も大きな影響を与えていることが明らかになった。
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特別活動における栄養教諭の役割と課題
岡邑衛
甲子園大学紀要 ( 43 ) 17 - 25 2016.3
Single Work
Publisher:甲子園大学
栄養教諭7名に対して実施したインタビューをもとに、特別活動における栄養教諭の役割と課題を明らかにした。特別活動で食育を実施することの意義を確認し、インタビューの分析結果より、特に若い栄養教諭の特別活動に関する知識の欠如、他の教職員からの協力の欠如、また、栄養教諭の仕事内容に関する相談相手の欠如が見出され、これらの課題への解決策を提案した。
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大学生と大学教職員が考える「よいノート」の要件―「甲子園大学ノート大賞」でのコメントを基に―(査読付) Reviewed
増田将伸、西川真理子、上村健二、岡邑衛
大学教育研究ジャーナル (第12号) ( 12 ) 62 - 70 2015.3
Joint Work
Publisher:徳島大学総合教育センター
甲子園大学で実施している学修支援事業「ノート大賞」での、学生、職員、教員による「よいノート」についてのコメントの分析を通して、それぞれ立場の違いによって、ノートに対する考え方の違いがあることを示した。甲子園大学において、学生は色の効果的な使用を、教員は区分けによる情報の整理を「よいノート」の要件として捉えていることが明らかになった。
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学生支援としての「ステップアップ講座」の効果の検証―受講者アンケートの自由記述の分析から
増田将伸、西川真理子、上村健二、岡邑衛、滝省治
甲子園大学紀要 ( 42 ) 37 - 45 2015.3
Joint Work
Publisher:甲子園大学
甲子園大学で教育課程外の学修支援事業として実施してきた「ステップアップ講座」の受講者アンケートの分析を通して、同講座が学生にどのような支援をおこなえているかを検証した。その結果、学修内容の多様性の確保、学修の質保証、情意面の効果について、効果が示された。
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アメリカにおける共通コア州スタンダーズに対する学校の反応と課題―ニューヨーク市の小・中・高等学校でのフィールドワークをもとに―(査読付) Reviewed
岡邑衛、上田勝江、新谷龍太朗
大阪大学教育学年報 ( 19 ) 100 - 108 2014.9
Joint Work
Authorship:Lead author Publisher:大阪大学人間科学研究科
アメリカ合衆国における「共通コア州スタンダーズ」の現場への浸透具合とその課題を、フィールドワークを通して探ることによって、同国の学力格差是正策の実現過程とその課題を明らかにした。参与観察の結果より、いくつかの課題は指摘できるものの、共通コア州スタンダーズが実践に影響を与える度合いは、官民連携の度合いと強い関係がある可能性が明らかになった。
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アメリカ―格差是正と標準化への苦闘―
米川英樹、深堀聡子、新谷龍太朗、岡邑衛、上田勝江
学力格差是正政策の国際比較 最終報告書 11 - 56 2014.5
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
米国における近年の学力格差是正策についてまとめ、ノースカロライナ州およびニューヨーク州の事例を通して、その成果と課題を明らかにした。とくに、ニューヨーク市における、民間組織の活躍ぶりは目覚ましく、子どもの低学力、教員不足等の問題に一定の役割を果たしていることが明らかになったが、一方で、そのような動きは、成果主義や授業のフォーマット化などの企業的側面を伴っており、市全体で学力格差是正への均一な支援を行うことについての課題を見出した。
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若手教師の専門性向上—生徒—教師間のコミュニケーションに着目して—(査読付) Reviewed
岡邑衛
日本教師教育学会年報 ( 22 ) 68 - 77 2013.9
Publisher:日本教師教育学会
長期にわたる公立学校での参与観察を通して、教師—生徒間のコミュニケーションに着目し、若手教師が出会う困難について分析した。その結果、これらの困難の中に、教員と生徒との間にコミュニケーショントラブルという生徒指導上の問題が発生していることを明らかにし、それを「ディスコミュニケーション」と名付けた。また、この問題への対処法として年長教師の「待つ」「聴く」というわざを事例から見出し、そこに専門性が高いとされる年長教師の専門性を見出した。そして、若手教師が実践の省察を通してそれらの専門性を向上させていくことを示した。
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アメリカにおける学力格差是正政策―ニューヨークの事例に注目して―
米川英樹、深堀聡子、新谷龍太朗、岡邑衛、上田勝江
学力格差是正政策の国際比較(2)2012年度各国現地調査のまとめ 6 - 25 2013.3
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
米国ニューヨーク州における聞き取り調査を通して、米国の学力格差是正政策に対し、現場がどのような反応を示しているのかを実証的に示し、とくに前年度に調査した郊外の州と対比して、都市部に位置するニューヨーク州の現状を分た。その結果、「データを基軸とした個別指導」「あふれるほどのコーチング」「親、コミュニティを巻き込んだ取り組み」がその特徴として明らかになった。
米川英樹、深堀聡子、新谷龍太朗、岡邑衛、上田勝江
担当範囲:第2節「学力格差是正に向けたニューヨーク市教育改革」を担当。 -
教員の意識と行動
岡邑衛、桐山勉、野崎友花
2012年度尼崎市立小・中学校子どもの学力・生活実態および教員の意識・行動実態調査報告書 15 - 15 2012.12
Joint Work
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
兵庫県尼崎市で実施した教員への質問紙調査の自由記述分析から、教員の教育観や実践になにが影響を与えているのかを明らかにした。その結果、「同僚との関係」「生徒との関係」に関する記述が多く、教師の実践には先輩教師等「重要な他者」の存在や生徒指導上苦労した生徒たちと正面から向き合った経験等が大きな影響を与えていることが明らかになった。
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アメリカにおける学力格差是正政策
米川英樹、深堀聡子、新谷龍太朗、岡邑衛、上田勝江
学力格差是正政策の国際比較(1)2011年度各国現地調査のまとめ 25 - 46 2012.5
Joint Work
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
米国ノースカロライナ州における大学、小、中学校や教育委員会に対する聞き取り調査を通して、この州における学力格差是正策がどのように展開され、連邦政府によるNCLB法と州のABCプランといった教育政策の対立と協調が、現場の学校に与える影響の一部を明らかにした。その際、「厳しい条件にある学校の取り組みや支援」「コモン・コア・スタンダードがカリキュラムや基準となる評価尺度のもたらした影響」等、4つの項目に関して分析した。
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教師が繰り広げる授業
岡邑衛
教育文化学年報 ( 7 ) 104 - 115 2012.4
Single Work
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
シュルツらの「会話フロア」概念に依拠し、授業中に発生する教師—生徒間のコミュニケーションによって発生するフロアについて参与観察を基に分析を実施した。その結果、参与観察を行った授業中の状況を5つの型に分類しうることを、事例を用いて明らかにした。また、この5つの型は行き来することが可能であり、その変化は教師—生徒間のコミュニケーションの状態により左右され、授業改善には生徒とのコミュニケーションを通した生徒指導力が問われることを示唆した。
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教師の専門性―「反省的実践家」概念を中心に―
岡邑衛
教育文化学年報 ( 6 ) 133 - 141 2011.3
Single Work
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
教師の専門性に関する先行研究の整理をし、ドナルド・ショーンによって提唱された「反省的実践家」概念を批判的にまとめた。その結果、現代の教師の専門性を捉えるために「反省的実践家」概念は有効である一方で、このモデルの特性上、調査者の目に見えないものを描くことや、実践者が言語化できないことを言語化していくことの困難性を示した。また、この課題を解決するための研究方法として、参与観察等の研究方法が有効であることを示した。
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若手教師の専門性を育てる学校
岡邑衛
学力向上策の比較社会学的研究 246 - 255 2011.3
Single Work
Publisher:大阪大学大学院人間科学研究科教育文化学研究室
格差を縮小させ、児童生徒に学力をつけさせることに成功している学校での参与観察から、若手教師の専門性を育てる学校の特徴を、教職員集団の同僚性、学校と地域・外部機関との関係性という側面から分析した。その結果、これらの学校では、若手教師を育てるT・Tの実践やメンタリングが日常的に行われており、また、外部の専門家の視点の導入によって、若手教師が実践の省察を積極的に行える環境が整えられていることが明らかになった。
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理科離れはどこからうまれるか
岡邑衛、桐山勉、古田美貴
2010年度尼崎市立小・中学校子どもの学力・生活実態調査報告書 125 - 132 2010.12
Joint Work
Publisher:大阪大学大学院教育文化学研究室
兵庫県尼崎市で実施した児童生徒に対する質問紙調査から、尼崎市の中学生の数学・理科嫌いの多さの原因について分析し、中2女子の理科離れ現象を指摘した。その結果、理科の成績が下位の女子生徒は、勉強することで将来が開かれていくというイメージを持っておらず、また、理科の成績が下位の女子生徒の親は子どもに対して大学進学の希望をもっていない傾向があることが明らかになった。