真崎 克彦 (マサキ カツヒコ)
MASAKI K.
職名 |
教授 |
学位 |
開発研究博士号(サセックス大学大学院), 国際開発学修士(コーネル大学大学院), 社会学士(関西学院大学) |
専門分野 |
開発研究、国際協力論, 地域研究 |
外部リンク |
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真崎 克彦 (マサキ カツヒコ) MASAKI K.
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甲南大学 マネジメント創造学部 教授
2014年4月 - 現在
甲南大学 マネジメント創造学部 准教授
2012年4月 - 2014年3月
Prospects of Rural-Based Businesses in Pursuit of a “Gross National Happiness Economy”: Transforming the Bhutanese Economy into a “Beating Heart” 査読あり 国際共著
Masaki, K. and Tshering, J.
1 ( 2 ) 23 - 38 2025年9月
共著
This study examines two Bhutanese business entities that have achieved commercial viability while nurturing rural social relationships and arrangements that enhance community vitality—one of the key priorities of Bhutan’s Gross National Happiness (GNH) vision. There is significant potential to replicate similar rural enterprises across Bhutan, guided by Buddhist-inspired models of business management. The Buddhist teachings underpinning GNH, including those relevant to business practices, can support the replication of like-minded enterprises that create income-earning opportunities throughout rural areas by fostering mutually beneficial stakeholder relationships and cultivating inner contentment within entrepreneurs and producers. Drawing lessons from the two enterprises, the study explores how Bhutan’s economy can build sustainable foundations for decent rural livelihoods—much like the “beating heart” circulating lifeblood throughout the body—thereby addressing the risk of widening urban–rural disparities in income and population distribution. At the same time, it is crucial to examine whether the ongoing success of Buddhist-based business models, represented by the two enterprises, depends on favorable structural conditions and whether such enterprises can be effectively replicated outside Bhutan, given the cultural specificity of their Buddhist-informed practices. Against this backdrop, further research is needed to explore how Buddhist-inspired business models, centered on individual moral agency, can navigate the pressures of dominant market structures—even within Bhutan. It is also important to consider how these locally grounded approaches, as demonstrated in this study, may inform broader alternatives to competitive market economies while balancing global relevance with Bhutan’s unique socio-cultural context.
Reorienting the Sustainable Development Goals: Lessons from Bhutan’s Gross National Happiness 査読あり
Masaki, K.
40 ( 2 ) 195 - 216 2024年6月
単著
The Sustainable Development Goals (SDGs) implicitly prioritize economic growth over social and environmental sustainability, and idealize industrialized, consumerist societies. In delving into ways to rectify these stances, the article takes up Bhutan’s policy of Gross National Happiness (GNH), which seeks to harmonize material prosperity, social and environmental concerns, and spiritual and emotional contentment. Unlike the SDGs that fail to acknowledge culture’s role in sustainable development, GNH pursues a vernacular pathway founded on a Buddhism-inspired holistic view of well-being. In reality, GNH is yet to elicit a structural shift towards a fully-fledged sustainable society. Nonetheless, it is worth analyzing how the Bhutanese state demarcates the space within which GNH is promoted, with recourse to a locally defined vision of sustainable development.
Masaki, K.
Journal of South Asian Research 2 ( 1 ) 21 - 45 2024年6月
単著
Gelephu Mindfulness City: Towards promoting ‘proximity in the plural’ 招待あり
Masaki, K.
Druk Journal 10 ( 1 ) 48 - 65 2024年3月
単著
「ポスト資本主義時代における地域主義」、「地域と「共にある」コミュニティ経済振興―ブータン山村の乳業協同組合」
真崎克彦
真崎克彦・藍澤淑雄(編)『ポスト資本主義時代の地域主義―草の根の価値創造の実践』、明石書店 2024年3月
単著
『ポスト資本主義時代の地域主義―草の根の価値創造の実践』
真崎克彦・藍澤淑雄( 担当: 共編者(共編著者))
明石書店 2024年3月
『グローバル開発協力論を考える―SDGs時代のパートナーシップのあり方』
重田康博・真崎克彦・阪本公美子( 担当: 共編者(共編著者))
明石書店 2019年10月
『「幸福の国」と呼ばれて―ブータンの知性が語るGNH(国民総幸福)』(キンレイ・ドルジ 著)
真崎克彦・菊地めぐみ( 担当: 共訳)
コモンズ 2014年7月 ( ISBN:4861871174 )
『支援・発想転換・NGO-国際協力の「裏舞台」から』
真崎克彦( 担当: 単著)
新評論 2010年9月 ( ISBN:978-4-7984-0835-6 )
『東南アジア・南アジア 開発の人類学(みんぱく実践人類学シリーズ6)』
信田敏宏・真崎克彦( 担当: 共編者(共編著者))
明石書店 2009年4月 ( ISBN:978-4-7503-2929-1 )
“‘Translocal community economy’: Leveraging rural-urban migration to enhance livelihoods in Shingkhar”
Masaki, Katsu, and Wangchuk, Lekden
National Conference: Migration, Climate Change and Societal Change in Bhutan (Online)
開催年月日: 2025年4月
"Gelephu Mindfulness City: Towards promoting ‘proximity in the plural’" 招待あり
Masaki, Katsu
The 2nd Suja & Dzaw Convention of the Druk Journal (in Paro) (Paro)
開催年月日: 2024年7月
"Gelephu Mindfulness City: Towards promoting ‘proximity in the plural’" 招待あり
Masaki, Katsu
The Suja & Dzaw Convention of the Druk Journal (in Thimphu) (Thimphu)
開催年月日: 2024年6月
"Reorienting the SDGs towards sustainable transitions: Lessons from Bhutan's experiment in GNH" 招待あり
Masaki, Katsu
Workshop 12 on Gross National Happiness (GNH) (Royal Institute of Management (RIM))
開催年月日: 2024年4月
「「気まま」なブータン」
真崎克彦
第15回トーキョーコーヒー講演会(@インターナショナルデモクラティックスクールまめの木)
開催年月日: 2024年1月
2014年度 国際開発学会奨励賞(「「〈対話〉論的シティズンシップ」をブータン村落で考える―民主的な〈対話〉の実現に向けて」 『国際開発研究』22(1)所収)
2015年11月 国際開発学会
真崎克彦
ブータン国教ドゥク派仏教の研究
2020年4月 - 2024年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
熊谷 誠慈, 真崎 克彦, 小西 賢吾, 安田 章紀
仏教国ブータンはドゥク派を国教宗派としており、同派ぬきに同国の仏教や文化を真に理解することはできない。しかし、ドゥク派に関する文献は長らく入手が困難であったため研究の蓄積が乏しく、開祖ツァンパギャレー(1161-1211)の人物像や思想すら未解明の部分が多い。
そこで本研究では、古典文献の精読に基づきドゥク派仏教の歴史と思想を精査することを主目的とする。さらに、ドゥク派の現状を理解すべく、ドゥク派寺院を実地調査し、現代ブータン社会におけるドゥク派の役割と影響を検証することを副次的目的とする。
2020年度には、新型コロナウイルス蔓延のせいで、ブータンでのフィールド調査を実施することができず、また、海外研究者を招聘しての対面型でのシンポジウム企画については延期をすることになった。
他方、文献調査を進めることに専念し、研究代表者の熊谷と分担者の安田が中心となり、ドゥク派開祖ツァンパギャレーの伝記や著作の批判的校訂テキストおよび現代語訳の作成を進めた。加えて、テキスト検索のためのプログラミング・アルゴリズムの開発を進めた。
また、GNHに関して、研究分担者の真崎は、国際開発学会の研究部会や、日本ブータン学会にて、ブータン山村における協同組合支援や、GNH批判の学術的検討などについて発表を行った。加えて、研究代表者の熊谷が「ブータンにおける実践仏教:ブータンの仏教と国民総幸福(GNH)政策」(船山徹編『現代社会の仏教』(シリーズ実践仏教5), 京都:臨川書店, 2020年5月, pp. 91-163)と題して、ブータン仏教とGNHとの関係性について大枠を整理した。
ブータンの発展政策の実証的研究を通した内発的発展論の再検討
2017年4月 - 2023年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
真崎 克彦
本研究では、村落生活を重んじる在来文化に即して①市場経済化と②自由民主主義を推進するという、ブータンの内発的発展政策の検証に取り組んできた。
①については、中部のシンカル村の乳業協同組合についての論文(英語)を刊行した。「コミュニティ経済」概念を参照しながら、いかに住民の協同性を基盤として協同組合が立ち上げられ、経済振興が進んだのかについての論考である。組合は市場開拓に成功し、各世帯の所得向上に寄与したが、その背景には、組合員(住民)どうしの互助を通して組合が利益率を上げてきたという事情がある。また、余剰の乳製品が祭事に供されることもあり、そうした組合による協同性の発揚が、村落生活の軸である祭事を尊ぶ組合員にとって活動推進の動機付けともなってきた。
さらには、シンカル村の乳業協同組合の記録映像も作成した。同国でも昨今、市場経済を個々人による自己利益追求の場と見なす風潮が高まっており、経済格差や環境問題が課題となっている。そうした中、市場経済を人の生活・生存を支える場としてとらえ直すとともに、その振興に地域の協同性で取り組む「コミュニティ経済」概念は、経済政策に取り込まれるべきではないだろうか。そうした観点から政策提言を行うためである。
②についても論文を刊行した。ブータンの統治の根本原理である国民総幸福(GNH)政策は個人の自由・権利を制限する、としばしば批判される。たしかにGNH政策では、近代的な個人の自律は唱えられない。しかし、それは人どうしや人と自然の関係性を重んじようとする立場からである。個人の自由・権利を制限することを念頭にしているのではない。上記のようなGNH批判には、統治のあり方の多文化性を尊重する姿勢が欠けている。ブータン独自の内発的発展政策の狙いを斟酌した上で、考察を進めるべきである。こうした観点に立った論文である。
2025年度 オルタナティブな社会発展・開発のあり方を探究するとともに、それにどう部外者が協力できるのかを考察する。主としてブータンの事例研究を行うとともに、そこで得られた知見の他地域・文化圏への応用可能性の検証にも取り組む。
研究費の種類: 教員研究費
2024年度 ブータン王国の村落ビジネス振興の現状と課題の研究、中部山村での小規模ビジネス振興の戦略・計画策定のためのアクションリサーチ
研究費の種類: 教員研究費
2023年度 開発学、国際協力論、地域研究(ブータン王国)
研究費の種類: 教員研究費
2022年度 ブータンの公共政策から考えるオルタナティブな発展・開発像
研究費の種類: 教員研究費
2021年度 オルタナティブ発展・開発論
研究費の種類: 教員研究費
インターンシップの企画・運営
アジアでの体験学習
地域連携を通した初年次教育
社会人向けの授業の一般開放
2025年度
教育の責任(何をやっているか:主たる担当科目):
公共政策の実践Ⅱ(2・3・4年次配当、2単位)、公共経営の先端Ⅲ(2・3・4年次配当、2単位)、フィールドワーク(単位認定型、1・2・3・4年次配当、2~4単位)、フィールドワーク(ブータン王国、1・2・3・4年次配当、2単位)、研究プロジェクト[前・後期1科目ずつ](2・3・4年次配当、6単位)、卒業研究プロジェクト(4年次配当、6単位)
教育の理念(なぜやっているか:教育目標):
マネジメント創造学部では、社会の中で「生き抜く力」や「物事をやり抜く力」(=現実問題を把握し、それらに対処する力)を育てることを目指す。そこで担当授業では、経済や経営をめぐる今日の諸課題について教える中、現行の経済や経営のあり方のどこに問題があり、それにどう向き合えば良いのかを考えてもらう機会を提供してきた。経済学や経営学で扱われる一般的・抽象的な理論・モデルを、具体的な社会的文脈に即して「駆動」する力を伸ばしてもらう一助になれればという思いで、教育に取り組んでいる。
教育の方法(どのようにやっているか:教育の工夫):
上記の教育目標の達成に向けては、第一に、授業では経済や経営の諸課題を、活きた事例に引きつけて教えようとしてきた。時事問題や事例に引きつけて授業内容を理解できるよう、配布資料(新聞や雑誌の記事など)と動画(映像作品やテレビ番組など)を用いている。第二に、経済や経営の諸課題が生まれるからくりを、それらの背景にある歴史や地勢などの具体的・特殊的な要因に絡めて伝えるようにしてきた。そうすることで、経済や経営に関する諸課題がどう生まれてきたのかを理解してもらうとともに、それら諸課題の生起が自明ではなく、現在の経済や経済のあり方が(自明のものではなく)別様にもなり得ると考えてもらうようにしている。第三に、少人数クラスでは、学生によるグルーワーク・報告を軸として進めることで学生主体の授業運営を行う一方、大人数の講義では、授業後にフィードバックペーパーを書かせることで学生たちの理解度や要望を把握するよう努めている。
教育方法の評価・学習の成果(どうだったか:結果と評価):
学生の理解度や意欲が全般的に向上したいると感じる。卒業や就職といった直近の課題が気になりつつも、「一体世の中はどうなっているのだろうか」、「日本社会は今後どうなるのだろうか」、といった広い観点に立った疑問を意識する学生が増えた、という手応えがある。そうした中、上記の教育方法も数年間でより大きな成果を挙げつつある、と自負している。
改善点・今後の目標(これからどうするか):
2024年度の在外研究の成果を活かしながら、学部の教育方針(「理論と実践をつなげる」「英語で経済や経営を学ぶ」)を踏まえて、2025年度よりプロジェクト研究科目を英語で実施している。前期に「経済学の倫理」、後期に「開発研究入門」を開講する。前者では、経済合理的な考え方(いかにうまくお金を回すのか、富を増やすのかという視点)と倫理的基準(富の分配や公平性、持続可能性や労働者の権利、消費者保護や環境への配慮など)とのバランスの取り方を学び、後者では、経済学、社会学、政治学、人類学、環境学など複数の学問を融合させながら発展や成長の阻害要因を分析し、持続可能な発展を実現するための理論と実践の探求を行う。学生にとってのハードルを下げるべく、日本語での説明会を開催するとともに、英語力に自信のない学生にも配慮した(日本語による補講もともなう)授業運営を行う。英語使用に関しては「完璧」な運用能力を期待しているのではなく、AIやデジタルツールも使いながら積極的に内容を理解し、発信する経験を積んでもらう。そうして技術を活用しながら実用的な英語コミュニケーションができる能力の育成に焦点を当てたい。
根拠資料(資料の種類などの名称):
シラバス、講義資料、リアクションペーパー、授業改善アンケート(自由記述欄)
『ブータン マネジメント研究』誌 、編集委員会 委員、王立経営大学(ブータン)
2021年3月 - 現在
「ブータン王国シンカル村における所得向上と住民共助による生活基盤の継承・発展」 プロジェクトマネージャー、国際協力機構(JICA)
2017年4月 - 2021年2月
日本ブータン友好協会 理事
2015年2月 - 現在
ブータン「住民関与を通じた地方行政支援プロジェクト」支援委員会 委員、国際協力機構(JICA)
2014年4月 - 2021年3月
「地方ガバナンス支援プログラム」 政策アナリスト、国連開発計画(UNDP)アフガニスタン事務所
2010年12月 - 2011年12月