大澤 香織 (オオサワ カオリ)
OSAWA Kaori
職名 |
教授 |
学位 |
博士(臨床心理学)(北海道医療大学), 修士(臨床心理学)(北海道医療大学), 学士(人間科学)(早稲田大学) |
専門分野 |
臨床心理学,認知行動療法,トラウマティック・ストレス,外傷体験の想起,予防的心理教育,トラウマ初期支援 |
外部リンク |
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大澤 香織 (オオサワ カオリ) OSAWA Kaori
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北海道医療大学 看護福祉学研究科 臨床福祉・心理学専攻 博士課程 修了
- 2008年3月
北海道医療大学 看護福祉学研究科 臨床福祉・心理学専攻 修士課程 修了
- 2003年3月
甲南大学 文学部 人間科学科 教授
2022年4月 - 現在
甲南大学 文学部 人間科学科 准教授
2014年4月 - 2022年3月
甲南大学 文学部 人間科学科 講師
2011年4月 - 2014年3月
日本認知・行動療法学会
2001年4月 - 現在
日本行動医学会
2010年7月 - 現在
月経に伴って生じる問題に対する大学生の認識とその実態に関する予備的調査 ―個人の援助要請の傾向を含めた実態把握の試み―
大澤香織
甲南大學紀要 文学編 174 135 - 142 2024年3月
マインドフルネス傾向およびトラウマ関連の否定的認知・回避的対処がPTSD症状に及ぼす影響 査読あり
渡邊明寿香, 大澤香織, 伊藤大輔
認知療法研究 15 ( 1 ) 92 - 101 2022年2月
共著
本研究の目的は,トラウマに焦点化した認知行動療法の介入ターゲットとされてきた否定的認知と回避的対処の影響を加味した上で,マインドフルネス傾向がPTSD症状やその各症状クラスターに及ぼす影響を明らかにすることであった。大学生を対象に,外相体験調査票,マインドフルネスな気づきと注意,認知的フュージョン,トラウマ関連の否定的認知,回避的対処,心的外傷後ストレス症状に関する測定尺度を実施した。広義のトラウマ体験者266名を対象に,階層的重回帰分析を実施した結果,トラウマに関連した否定的認知と回避的対処に「マインドフルネスな気づきと注意」や「認知的フュージョン」を加えることによって,PTSD症状の説明率における上昇がみられた。このことから,従来のトラウマに焦点化した認知行動療法のターゲットとされてきた否定的認知と回避的対処のみならず,マインドフルネス傾向がPTSD症状の改善に寄与すると考えられる。
トラウマ体験後の初期対応に有用・有効なソーシャルサポートを考える―PTSDの発症・重症化予防の観点から―
大澤 香織
甲南大學紀要 文学編 ( 171 ) 197 - 204 2021年3月
Mindful attention awareness and cognitive defusion are indirectly associated with less PTSD-like symptoms via reduced maladaptive posttraumatic cognitions and avoidance coping. 査読あり 国際誌
Ito, D., Watanabe, A., & Osawa, K.
Current Psychology 2021年2月
否定的・肯定的育児感情が母親の養育行動の生起頻度に与える影響 査読あり
岡本大輔,礒部美也子,大澤香織
応用心理学研究 46 ( 2 ) 186 - 187 2020年11月
認知行動療法事典
日本認知・行動療法学会( 担当: 共編者(共編著者) , 範囲: 第2章基礎研究「心的外傷後ストレス障害の認知行動療法の基盤となる研究」(pp.96-97),第9章福祉分野の認知行動療法「虐待」(pp.488-489))
丸善出版(株) 2019年9月 ( ISBN:978-4-621-30382-5 )
健康心理学事典
日本健康心理学会( 担当: 共編者(共編著者) , 範囲: 第11章健康心理学的支援法・災害「急性ストレス障害・PTSD」「トラウマに対する心理的支援」)
丸善出版(株) 2019年9月 ( ISBN:9784621303764 )
臨床児童心理学―実証に基づく子ども支援のあり方―
石川信一,佐藤正二(編著)( 担当: 共著 , 範囲: 第2章第1節 実証に基づくアセスメント)
ミネルヴァ書房 2015年10月 ( ISBN:978-4-623-07246-0 )
セラピストのための行動活性化ガイドブック うつ病を治療する10の中核原則
クリストファー・R・マーテル,ソナ・ディミジアン,ルース・ハーマン-ダン(Christopher R. Martell, Sona Dimidjian, & Ruth Herman-Dunn)(著) 坂井 誠・大野 裕(監訳)( 担当: 共訳 , 範囲: 第6章 問題解決と回避への対応)
創元社 2013年9月 ( ISBN:978-4-422-11568-9 )
『臨床心理士報』第24巻
大澤 香織( 担当: 単著 , 範囲: 外傷体験想起時の認知・行動と外傷性ストレス反応の関連モデル(PCBM)に基づく心理学的介入の効果に関する研究)
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会 2013年7月
P2-67 外傷的出来事の想起に焦点をあてた認知・行動的介入が外傷性ストレス反応および治療への動機づけに及ぼす効果(一般演題ポスター,認知行動療法のポテンシャル)
大澤 香織
日本認知・行動療法学会大会プログラム・抄録集 ( 40 ) 394 - 395 2014年11月
P2-82 行使コーピングが精神的健康のポジティブおよびネガティブな側面に及ぼす影響(一般演題ポスター,認知行動療法のポテンシャル)
清水 知子, 塩澤 公輔, 石丸 調, 野田 昇太, 伊勢 真似子, 内部 美春, 大熊 里奈, 杉村 明信, 西尾 宏輝, 松尾 和弥, 大澤 香織
日本認知・行動療法学会大会プログラム・抄録集 ( 40 ) 423 - 424 2014年11月
中島俊, 岡島義, 大澤香織, 坂野雄二
日本行動療法学会大会発表論文集 32nd 324 - 325 2006年
P1B-28 児童における身体的リラクセーションを用いたストレスマネジメント(ポスター発表2(学校臨床),人間科学としての行動療法の展開)
高橋 高人, 百々 尚美, 大澤 香織, 金井 嘉宏, 坂野 雄二
日本行動療法学会大会発表論文集 ( 31 ) 272 - 273 2005年10月
P2A-34 痒みに対する不安尺度の開発(ポスター発表3(基礎研究・ストレス・精神保健),人間科学としての行動療法の展開)
樋町 美華, 岡島 義, 大澤 香織, 羽白 誠, 坂野 雄二
日本行動療法学会大会発表論文集 ( 31 ) 360 - 361 2005年10月
ポピュレーション・アプローチとしての心の健康教育の研究実践とその課題:トラウマに関する心理教育の効果研究を題材として
大澤香織
第32回日本健康教育学会学術大会 (長野県立大学) 2024年7月
開催年月日: 2024年7月
国名:日本国
心的外傷後ストレス障害についての診療ガイドライン心理療法版の作成(シンポジウム「心的外傷後ストレス障害についての診療ガイドライン心理療法版の作成」)
伊藤正哉,大江美佐里,竹林由武,伊藤大輔,大澤香織,金子響介,竹林唯,杉田創,矢部魁一 ,柳百合子
第22回日本トラウマティック・ストレス学会大会 2023年8月
トラウマ体験者に対する初期支援・対応の実態およびニーズに関する調査:トラウマ初期支援の質向上を目指した心理教育・研修プログラムの開発と普及・実装に向けて
大澤 香織,瀧井 美緒,伊藤 大輔
第22回日本トラウマティック・ストレス学会 (武蔵野大学有明キャンパス(8/5-9/18 オンデマンド配信とのハイブリッド開催)) 2023年8月
開催年月日: 2023年8月 - 2023年9月
心的外傷後ストレス障害への認知処理療法の今とこれから(大会企画シンポジウム「心的外傷後ストレス障害への認知処理療法の今とこれから」)
伊藤正哉,片柳章子,高岸百合子,佐藤珠恵,金子響介,中山千秋,菊池安希子,今村扶美,大澤香織,宮前光宏,牧田潔,堀越勝
第22回日本トラウマティック・ストレス学会大会 (武蔵野大学) 2023年8月
Kaori Osawa
10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies (COEX, Seoul, Korea) 2023年6月
開催年月日: 2023年6月
国名:大韓民国
公益財団法人日本心理学会 臨床心理科学研究会 第2回研修会
2017年10月
シンポジウム「事例の中の臨床心理科学」の指定討論者,招待講演「トラウマティック・ストレスへの心理的介入」の講師を担った。
こころ電話支援相談員研修会
2017年8月
「外傷性ストレスの深刻化・慢性化の予防を目指した心理教育プログラムについて~トラウマ記憶の想起に焦点を当てて~」というテーマで,研修の講師を務めた。
厚生労働省認知行動療法研修「PTSDに対する認知行動療法研修#2 認知処理療法研修」講師補助
2023年2月
国立精神・神経医療研究センターとオンライン(Zoom)
厚生労働省認知行動療法研修「PTSDに対する認知行動療法研修#2 認知処理療法研修」の講師補助を担った。
公益財団法人日本心理学会 臨床心理科学研究会 第2回研修会
2017年10月
北海道医療大学札幌サテライトキャンパス 樋町美華(教育講演),角田純(話題提供),後藤貴浩(話題提供),春名大輔(話題提供),広瀬慎一(話題提供),大澤香織(指定討論,招待講演) 座談会
シンポジウム「事例の中の臨床心理科学」の指定討論者,招待講演「トラウマティック・ストレスへの心理的介入」の講師を担った。
こころ電話支援相談員研修会
2017年8月
福島県立医科大学 (講師として)大澤香織 座談会
「外傷性ストレスの深刻化・慢性化の予防を目指した心理教育プログラムについて~トラウマ記憶の想起に焦点を当てて~」というテーマで,研修の講師を務めた。
第9回児童青年認知行動療法研究会
2011年10月
同志社大学今出川校地継志館2階会議室 (講師として)大澤 香織 座談会
「子どものトラウマに対する認知行動的アプローチを考える」をテーマに講演を行った。
身体志向アプローチの効果メカニズムに着眼した心身融合型のトラウマ回復支援法の開発
2019年4月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
トラウマからの回復支援法の確立が国内外で喫緊の課題となっている。そのため,本研究は,マインドフルネス技法の効果メカニズムについて,「身体―認知―行動」の3つの側面から包括的に検討することで解明し,最終的に身体志向アプローチと認知行動的アプローチを併用した心身融合型の新たなトラウマ回復支援法の開発に行う。
トラウマ初期支援に要するコンピテンスとそれに基づく教育・研修プログラムの開発
2019年4月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
自然災害や事件・事故などによって受けたトラウマによって,心の健康が損なわれてしまう前に行われる初期支援(トラウマ初期支援)を実践できる専門家への要請の声が高まっている。しかし,トラウマ初期支援を行う上で必要な支援能力(コンピテンス)については,未だ十分に明らかにされていない。本研究では,トラウマ支援を経験してきた専門家を対象に調査を行い,トラウマ初期支援に必要なコンピテンスについて,具体的に明らかにする。明らかになったコンピテンスを高め,効果的なトラウマ初期支援を行える実践家(公認心理師,臨床心理士等),および一般の人々を養成するための教育・研修プログラムを開発し,その効果を検証する。
外傷性ストレスの深刻化・慢性化の予防を目指した心理学的プログラムの開発
2016年4月 - 2020年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
トラウマ体験者の多くが適切な治療や支援を受けずにいることが問題視されている。申請者の研究から,トラウマの記憶を想起した際のストレス対処には身近な人に援助を求めることが有効だと考えられていること,想起による影響とその対処法について学ぶ心理教育が外傷性ストレスの深刻化・慢性化予防に有用である可能性が明らかになってきた。これらに基づき,本研究ではトラウマの記憶想起に焦点をあてて外傷性ストレスの維持・悪化の予防をはかる心理学的プログラムを「トラウマに遭遇するリスクが高い人々」と「一般市民」に向けて開発し,それぞれの効果を明らかにする。それにより,支援や治療に抵抗があるトラウマ体験者やその身近にいる人々に対する新たな支援の確立と外傷性ストレスに対する予防対策の基盤構築を試みる。
外傷体験想起時の認知・行動モデルに基づく心理学的介入の構築とその効果の検討
2011年5月 - 2013年4月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
外傷体験想起時の認知・行動と外傷性ストレス反応の関連を説明するモデルに基づいて作成した介入プログラムを,精神的健康や生活機能障害の改善,および治療への動機づけの向上を目指した内容に発展させ,その効果を明らかにする。外傷体験の想起による問題や外傷性ストレス反応を主訴とする者を対象に介入プログラムを実施し,その短期的・中長期的効果を明らかにする。
次世代育成を含むライフプラン形成の促進を目指す実態調査・実践的研究・施策検討
2018年4月 - 2019年3月
その他財団等 公益財団法人木下記念事業団 学術研究活動助成
トラウマの記憶がもたらす心理・社会的問題の維持・悪化予防を目指した予防的心理教育プログラムの開発
2015年10月 - 2016年8月
その他財団等 公益信託 福原心理教育研究振興基金
交通事故被害者を対象とした精神疾患の発症予防プログラムの効果の検討
2008年11月 - 2010年3月
その他財団等 財団法人三井住友海上福祉財団2009年度研究助成(交通安全等部門)
外傷体故想起時の認知・行動と外傷性ストレス反応の関連モデル(Post-traumatic Cognition and Behaviors Model)に基づく心理学的介入の効果に関する研究
2008年11月 - 2010年3月
その他財団等 財団法人日本臨床心理士資格認定協会平成20年度一般研究助成
2024年度 (1)トラウマに関する心理教育・啓発の普及・実装に向けての試み ,(2)女性特有の健康課題に関する実態解明とそれに基づく有用なサポートの検討
研究費の種類: 教員研究費
2023年度 (1)トラウマに関するメンタルヘルス・リテラシー向上を目的とした心理教育プログラムに関する研究,(2)女性特有の健康関連課題とその介入(認知行動療法)に関する研究
研究費の種類: 教員研究費
2022年度 トラウマに関する予防的心理教育・啓発,初期支援に関する研究
研究費の種類: 教員研究費
2021年度 ①専門家・非専門家を対象としたトラウマに関する心理教育プログラム,およびトラウマ体験者への対応に関する教育・研修プログラムの開発とその効果検証を試みる。これに関連して,トラウマ体験者が援助要請を行いやすい環境整備に寄与するような基礎研究も実施し,プログラムの内容に還元することを試みる ②健康の維持増進に寄与する情報提供と人々の意識・行動変容に有用となりうる情報伝達方法とデザインについて,これまでの知見を展望しながら検討する
研究費の種類: 教員研究費
2020年度 ①トラウマ体験者への初期対応(ファーストエイド)に必要な情報を提供する心理教育の構築に向けた基礎研究 ②トラウマに関する心理教育の実践とその効果の検証
研究費の種類: 教員研究費
日本ストレス学会 平成19年度学会賞
2007年10月 日本ストレス学会
「外傷体験の記憶想起時における対処方略が外傷性ストレス反応に及ぼす影響-重回帰分析による検討-」,ストレス科学,第21巻第4号,223~232頁
日本ストレスマネジメント学会第4回学術大会 大会賞
2005年7月 日本ストレスマネジメント学会
「児童における身体的リラクセーションを用いたストレスマネジメント」,日本ストレスマネジメント学会第4回学術大会プログラム・抄録集,66頁
私立大学情報教育協会サイバー・キャンパス・コンソーシアム・サイバーFD研究者
教材のMy Konanへのアップロード
e-learningを用いた心理学講義の実践
高大連携事業による高校生を対象とした心理学の講義
心理学関連実習の教科書編集・出版
2021年度
教育の責任(何をやっているか:主たる担当科目):
【学部】人間科学基礎演習Ⅰ(1年次配当,2単位),人間科学入門(1年次配当,2単位),アート・ワークショップ入門(1年次配当,2単位),人間科学基礎演習Ⅱ(2年次配当,2単位),人間科学基礎演習Ⅲ(2年次配当,2単位),心理療法(2年次配当,2単位),教育相談(2年次配当,2単位),演習Ⅰ(3年次配当,2単位),健康・医療心理学(3・4年次配当,2単位),演習Ⅱ(4年次配当,2単位),卒業研究(4年次配当,8単位)
【大学院】人間科学演習Ⅰ(心理臨床)(修士1年次配当,2単位),心理学特別研究Ⅳ(修士1年次配当,2単位),人間科学演習Ⅱ(心理臨床)(修士2年次配当,2単位),心理学研究法特論(修士1年次配当,2単位)
教育の理念(なぜやっているか:教育目標):
臨床心理学は,いわゆる心の問題に関する理論・研究と,その解決・改善にあたる実践の両輪によって成り立つ学問である。しかし,実際にはいずれかに偏りやすく,それがわが国における臨床心理学の発展を遅らせている一因になっているとも考えられる。学部でも大学院でも共通して,エビデンスに基づく臨床心理学の理解とその実現に向けた研究・実践について,学生が科学的視点をもって学び,考え,実践できる機会を提供することを目指している(主に「人間科学基礎演習Ⅰ・Ⅱ」「心理療法」「演習Ⅰ・Ⅱ」「人間科学演習Ⅰ・Ⅱ」「心理学研究法特論」等)。また,心の問題を抱える者を対象とする臨床心理学と関連し,人々の心の健康をいかに維持・増進させるかを考え,実践する健康心理学についても学ぶ機会を提供するようにしている(主に「健康・医療心理学」「アート・ワークショップ入門」等)。
教育の方法(どのようにやっているか:教育の工夫):
人間科学科では,2年次配当の心理学の講義が多く,学生側も講義で得た知識や情報が煩雑になりがちな印象がある。過去の授業改善アンケートの結果を見ると,2年次配当の科目である「心理療法」の予習・復習を行った時間が大学・学部全体の平均と比べて少なかったことから,当該講義では学んだ内容の復習小テストを実施する等,知識の整理と復習に力点を置いた教育実践を試みている。公認心理師養成カリキュラムの講義科目も同様に,全15回の中に学ぶべき情報が多く詰め込まれてしまいがちになることから,「健康・医療心理学」では,授業回の中間(第8回講義)にて復習テストを実施し,その回までの学習内容の整理を促すようにしている。初年次の基礎教育に該当する「人間科学基礎演習Ⅰ」,2年次の「人間科学基礎演習Ⅱ」では,自身で心理学関連の課題を見つけて取り組めるように課題を設定し,3年次の演習および4年次の卒業研究に向けての準備学習を2年継続で行えるように工夫している。このような試みの中で,学生の学習状況を確認し,また,講義内で各自の学びを紹介・共有したり,授業計画の調整を行ったりしている。
教育方法の評価・学習の成果(どうだったか:結果と評価):
2021年度の前期は新型コロナウイルスの影響を受けて,オンライン授業となったものもあったが,多くは対面で授業を行うことができた。「心理療法」はオンライン授業となったが,授業での内容を確認・復習するための〇×式の小テストをMy KONANを活用して実施することができた。「健康・医療心理学」の復習テストは対面実施となったが,実施後にその問題と解答をMy KONANを通じて学生に公開し,定期試験に向けて復習ができるような工夫も行った。それらに真面目に取り組んだ学生の成績は概ね良好であったが,一方で,これらの機会を十分に活用しなかったと思われる学生との差が大きくなったようにも見受けられる。また,「人間科学基礎演習Ⅰ・Ⅱ」では,2020年度に引き続き,感染予防の観点から学生が個人で課題に取り組む形式をとることとなったが,課題のフィードバックを一人一人に丁寧に行うようにし,それを通じて学生とコミュニケーションをとるように心がけた。また,PC教室で課題に取り組む時間も設け,教員がいる場で直接質問や相談に応じられるようにもした。レポート全体をみると,自ら課題を見つけて自主的に取り組んだ学生,教員からのフィードバックを受けてさらにレポートの質の向上を試みた学生にとっては,質問も多く,学習効果の高いものになったと思われる。「人間科学基礎演習Ⅱ」では,感染予防のためにグループワーク・発表ができなかったが,各自で取り組んだ課題について,代表者3名を選出してプレゼンしてもらい,全体で知識・情報の共有を行うことができた。
改善点・今後の目標(これからどうするか):
テストによって知識の整理と復習を促す試み,レポート課題の設定とフィードバック等を丁寧に行う試みは,おおよそ良い学習効果をもたらしていると思われるが,それらを行う目的や意義を学生自身が十分に理解しているとは限らない。「成績評価に影響するから」「先生に出されたから」という受け身で消極的な態度でテストや課題を行っていた学生も少なからずいたと推測される。復習テストやレポート課題の目的・意義をこれまで以上にわかりやすく丁寧に説明し,学生たちがそれを理解して,自主的・能動的に学習ができるように促すことを今後試み,それがどのような変化をもたらすかをみてみたいと考える。初年次教育の中で,そのような学びの姿勢を身に着け,定着させる工夫も求められるだろう。
根拠資料(資料の種類などの名称):
シラバス,講義資料(配布冊子),課題レポート,小テスト・小レポート