科研費(文科省・学振)獲得実績 - 遠藤 玉樹
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いつ、どこで、どのように、核酸の高次構造は形成し機能するのかを予測する
2022年4月 - 2027年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
担当区分:研究分担者
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多元応答ゲノム機構の解明
2021年8月 - 2024年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)
建石 寿枝, 今西 未来, 遠藤 玉樹
総括班は、領域の運営(研究計画、領域会議やシンポジウムの開催、広報活動)ならびに領域研究全体の研究連携の支援を担当する。2021年度は、領域研究代表者を統括班の代表とし、甲南大学内に多元応答ゲノム領域推進センター(領域事務局を兼務)を設立し、領域の運営ならびに研究連携を推進した。
まず、領域メンバーの研究打ち合わせでは、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限のため、オンライン会議を活用し、定期的に研究の進捗を報告し、連携が滞りなく推進されているか確認した。本年度は、多元応答ゲノム機構の解明を目指し、遺伝子発現に関わる核酸構造やタンパク質について、定量的に解析した。その結果、核酸非二重らせん構造(i-モチーフおよびG四重らせん)形成におよぼす、溶液環境の効果( RSC Adv., 11, 37205 (2021))、G四重らせん構造とメチル化酵素の相互作用(Nucleic Acids Res. 50, 449 (2022))を明らかにした。さらに、核酸構造変化に応答した遺伝子発現機構として、G四重らせん構造の形態が複製におよぼす影響(J. Am. Chem. Soc., 143, 16458 (2021))や、翻訳反応を調節し得るシュードノット構造の形成機構 (Chem. Commun., in press (2022))を明らかにした。
また、領域発足にあたり、領域アドバイザーをお招きし、領域のコンセプトを広く周知できるようキックオフシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、核酸非二重らせん構造の機能解析の第一人者であるPurdue University(米国)のDanzhou Yang教授とNanyang Technological University(シンガポール)のAnh Tuan Phan教授をお招きし、領域への応援メッセージとともに特別講演を行っていただいた。 -
生物種の分類枠組みを超えた網羅解析による多元応答深化の解明
2021年 - 2023年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)
担当区分:研究代表者
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細胞内で機能するRNA構造スイッチの最適化および合理的設計技術の構築
2019年4月 - 2022年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究では、細胞内で効率良く機能するRNA構造スイッチを合理的に設計する技術基盤を確立する。
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核酸構造のトポロジーによる遺伝子発現の化学的制御
2019年4月 - 2022年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
杉本 直己, 建石 寿枝, 高橋 俊太郎, 遠藤 玉樹
本研究課題では、分子環境に依存してトポロジーを変動させる核酸構造による遺伝子の発現調節機構の解明と、得られる知見を活用した化学的な遺伝子の発現制御技術を確立することを目指して研究を進めた。研究成果として、細胞内を特徴づける分子クラウディング環境において、核酸トポロジーおよびその安定性に影響を及ぼす因子を同定し、遺伝子発現の変動と核酸トポロジーの相関を定量的に明らかにした。さらに、核酸トポロジーを人為的に変化させる人工分子の開発を行い、分子間の相互作用で特定の核酸トポロジーの形成、安定化を促すことで、細胞内で核酸機能を制御できることを実証した。
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細胞内環境で変化する非二重らせん構造の定量的機能解析と遺伝子発現制御
2018年10月 - 2023年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
杉本 直己, TENG Ye, 建石 寿枝, 高橋 俊太郎, 遠藤 玉樹, GHOSH SAPTARSHI, 松本 咲
本研究では、非標準核酸構造の安定性と立体構造を細胞内環境で解析し、非標準核酸構造による遺伝子発現制御機構を分子レベルで解明することを目的としてい る。令和3年度は非標準核酸構造の形成を制御する分子の設計と機能解析を中心に研究を行った。その結果、本研究課題の主要な海外コラボレーターである英国Reading大学のChristine Cardin教授と共同で、ヒトテロメア由来のグアニン四重鎖に特異的に結合するルテニウム錯体を合成し、その複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって決定することができた(JACS, 144, 5956-5964 (2022))。当該研究は、研究分担者の高橋を中心とした国際共同研究によって開発した、特定のトポロジーのグアニン四重鎖に対するリガンド分子の合理的設計指針(JACS, 143, 16458-16469 (2021))によって達成できた。さらに、海外との共同研究成果として、ファイトケミカルと相互作用するRNAの取得とそのメカニズムの解明(Nucleic Acids Res, 49, 8449-8461 (2021))や、人工核酸を用いたmiRNA成熟の制御(ACS Chem. Biol., 16, 1147-1151 (2021))に関する論文を発表した。また、研究分担者の松本が中心となって行った、老化細胞環境を模した分子クラウディング環境でDNAエピジェネティック修飾と非標準核酸構造の形成の相関性を定量的に解析した研究成果を論文発表した(RSC Adv., 11, 37205-37217 (2021))。これは、本研究に参加した若手研究者(松本)が筆頭著者となり論文発表した特筆すべき成果である。 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、渡航を伴う共同研究及び打ち合わせは全て中止し、令和3年度の渡航に基づいた共同研究計画を進展させることがほとんどできなかった。そのため、令和3年度で終了予定であった本事業をさらに1 年延期し、令和4年度も国際共同研究を実施する。
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伝子の同時・並列転写制御によるヒト細胞内での遺伝子発現ネットワークの構築
2014年4月 - 2017年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究では、ヒト細胞内において複数遺伝子の転写活性化を、同時かつ並列に制御できる人工システムを構築する。さらに、光刺激により遺伝子発現を時空間的かつ定量的に制御できるシステムへ展開する。
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遺伝子発現に重要な関与をする核酸の非標準構造のエネルギーデータベース化とその活用
2012年4月 - 2015年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
本研究では、細胞内の化学的分子環境下での核酸の構造特性及びその熱安定性に着目し、これを制御する機能性分子を設計することで遺伝子発現の制御システムを開発することを目的とする。その中で、
(1)天然の核酸構造及びその安定化エネルギーの観点から遺伝子発現の調節機構を『知る』。
(2)細胞内環境下で核酸の構造形成及び構造変性を誘起する人工分子を合目的的に『生む』。
(3)細胞内における遺伝子発現の制御に『活かす』。
というステップを段階的に遂行することにより、効率的かつ合理的な機能性分子の創出を行う。特に、核酸の非標準構造(三重鎖構造、四重鎖構造、シュードノット構造など)の重要性に着目し、これらの核酸構造により緻密に調節される転写や翻訳の遺伝子発現過程を解析する。そして、合理的設計に基づいた機能性分子を用いて核酸構造の安定化エネルギーを調節することで、遺伝子発現過程の制御を目指す。 -
新生RNAの合理的な構造遷移速度制御に基づく細胞内におけるRNAスイッチの機能化
2012年4月 - 2014年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
本研究では、転写反応と共に進行する新生RNAの構造形成(co-transcriptional folding)に着目し、RNA構造スイッチの速度制御を行う。
(1) 転写直後の速度論的に有利なRNAの準安定構造から、熱力学的に有利なRNAの最安定構造への構造遷移に関して速度論的な解析を行う。
(2) 転写直後の準安定構造に対してリガンド分子を結合させ、構造遷移のための活性化エネルギーを増大させることで、構造遷移に要する時間を制御する。
という流れで研究を遂行し、RNAの生合成過程と新生RNAの準安定構造を考慮した、効率的なRNA構造スイッチの設計・構築指針を得る。さらには、構築したRNA構造スイッチを用いて細胞内における機能性RNAの構造を制御することにより、RNAに対するリガンドを検出するための細胞内バイオセンサーの構築や、RNA結合リガンドによる遺伝子発現制御システムの構築を試みる。 -
Protein Folding Codonによるタンパク質機能調節機構の解明
2010年4月 - 2012年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 萌芽研究
本研究では、mRNA 中のRNA 高次構造が、翻訳速度調節によりタンパク質の高次構造を決める役割を担っていることを示す。そのうえでProtein Folding Codon と言うアミノ酸配列コード以外の新たなRNA コードを提唱する。まず、mRNA の翻訳領域内にあるRNA 高次構造がリボソームの翻訳速度に及ぼす影響を評価し、RNA高次構造の熱安定性と翻訳速度との相関を定量する。次に、分子クラウディングなどの細胞内類似環境において、RNA高次構造の安定性と翻訳速度がどの程度影響されるのかを評価する。そして、得られた定量データをデータベース化し、Protein Folding Codonとして機能するであろうmRNAの探索に活用する。さらに、翻訳と同時進行するタンパク質の折り畳みとそれに伴う機能変化が、翻訳速度の変化を介して規定されているかどうかを調べ、RNA 構造とタンパク質構造の相関に法則性があるや否やを検討する。
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Protein-RNA conjugateによる細胞内代謝産物のイメージング
2009年4月 - 2011年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(スタートアップ)
本研究では、生体内で合成される代謝産物を標的に、これをリアルタイムかつ継続的に検出できるバイオイメージングシステムを構築することを目指す。そのための基盤として、細胞内で持続発現させることができる蛍光タンパク質とRNAを利用する。RNAには標的代謝産物を認識させる機能、蛍光タンパク質にはRNAと標的代謝産物との結合を蛍光シグナルに変換させる機能を持たせ、細胞内で持続的に機能するProtein-RNA conjugateを作製する。