科研費(文科省・学振)獲得実績 - 中辻 享
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『焼畑を活かす 土地利用の地理学:ラオス山村の70年』の出版経費
2024年4月 - 2025年2月
学術振興機構 科学研究費助成事業 研究成果公開促進費(学術図書)
担当区分:研究代表者
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アジアにおける公正で持続可能なフードシステム構築のための農と食の総合的研究
2021年4月 - 2026年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小坂 康之, 樋口 浩和, 生方 史数, 中辻 享, 澤田 綾子, 大澤 由実
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多時点の空中写真を活用したラオス山村での70年間の土地利用・土地被覆変化の解明
2021年4月 - 2025年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中辻 享, 鈴木 玲治, 小坂 康之, 竹田 晋也
本研究は全世界で20世紀初頭から繰り返し撮影されてきた航空写真の活用可能性を探ること、特に、東南アジアのラオスの山地を対象に、1940年代以降の土地利用・土地被覆を解明するためにそれを活かすことを目的としている。東南アジアの航空写真の活用をはかる際、障害となってきたのは、①航空写真の入手、②オルソ幾何補正、③土地利用・土地被覆判読の各段階である。2023年度は、特に①、②に関して、大きな進展をみた。
1に関しては、ラオス国立地図局において、放置された状態になっていた航空写真のフィルムをスキャンするため、ラオスまで持ち運ぶことができるような航空写真用のスキャナーを市販のものを改造して作成した。
2に関しては、SfM/MVS(Structure from Motion/Multi-View Stereo)技術を用いて、多数の航空写真から比較的短時間で広域のオルソモザイク画像を作成できることを実証した。中辻と渡辺が中心となり、写真測量ソフトであるMetashapeを用いて、1945年(88枚)、1959年(93枚)、1982年(19枚)の航空写真から実際にオルソモザイク画像を作成した。その結果、1945年のような古い航空写真からも水平方向のRMS誤差の平均が10-20m程度のオルソモザイクが作成できることが判明した。また、古い航空写真には斜め撮影のものも多いが、そうした写真からもオルソモザイク画像が作成できることも判明した。
SfM/MVS技術を用いて、航空写真から広域オルソモザイク画像を作成する試みは決して先例がないわけではない。しかし、そうした研究の多くは日本を含めた先進国を事例としたものが多かった。本研究は東南アジアを対象としている点に大きな意義がある。例えば、ラオスの1945年当時の土地利用・土地被覆を明確に示す地理資料は航空写真以外にない。 -
脱農業化と森林転換がはじまった東南アジア大陸山地での生態資源保全シナリオの構築
2020年4月 - 2024年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
竹田 晋也, 鈴木 玲治, 山口 哲由, 小坂 康之, 中辻 享, 田中 貴
脱農業化と森林転換の進展の実態をとらえ、さらに生態資源保全のシナリオを考える本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーにおいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。
私たちの研究グループでは2001年からミャンマー・バゴー山地のS村で焼畑調査を継続してきた。英領期にカレン領域に指定されたS村では、カレンの人々が焼畑を営み、自給自足に近い生活を送ってきた。2011年にテインセイン政権が発足して以降、ミャンマーでは民主化と経済自由化の進展が期待されてきた。S村では依然として焼畑陸稲栽培が日々の生活を支える一方で、道路がよくなり、海外出稼ぎも始まった。ミャンマー周縁の森は、細い糸でしかし直接にグローバルネットワークにつながりだした。
これまで「焼畑」は、粗放な土地利用として改善・開発・転換の対象とされてきた。しかし新型コロナウイルス感染症を経験した世界で、森林と生物多様性の保全があらためて重要な課題として浮き上がってくると、焼畑システムと焼畑民の生活のありようは、「新生活様式」あるべきひとつの方向を示してくれると思う。ヒト・モノ・カネが行きかう濁流から抜け出すことのできないような相互依存に陥るのではなく、焼畑に軸足を置いて自給力を維持しつつ、グローバル/トランスナショナルな関係を主体的に結んでいける可能性があるのではないかと思い始めるようになった。その検討を現在すすめている。 -
アフリカの熱帯高山における氷河消滅が自然・生態系や地域社会に及ぼす影響の解明
2019年4月 - 2023年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
水野 一晴, 森島 済, 手代木 功基, 孫 暁剛, 奈良間 千之, 荒木 美奈子, 中辻 享, 山縣 耕太郎, 大谷 侑也
キリマンジャロにおいて、2019 年 8 月 30 日にArusha Airport よりセスナ機(CESSNA T206H)で1 秒間隔で氷河の上空で周辺の地形も含めた写真の撮影をおこなった。セスナ機からの空撮画像とSfMソフトのPix4D Promapperを用いて、氷河の地形表層モデル(DSM)を作成した。DSMおよびオルソ補正画像の作成には、2015 年 1 月 17 日に取得されたPleiades 衛星のオルソ画像と DSM から取得した地上基準点(GCP)を用いた。
衛星画像解析の結果から、 キリマンジャロの氷河は1912年-2019年の間、 早いスピード(0.11km2/年)で減少していることがわかった。また、 2010年-2019年の年間減少量は従来のスピードよりも早く(0.15km2/年)、そのペースが続けば2024年-2026年頃にはキリマンジャロから氷河は姿を消すことが予想される。一方で、 河川水と氷河融解水の酸素・水素同位体比を分析した結果、 乾季における山体部の河川水(3,939m-4,579m)には、 氷河融解水が寄与していることがわかった。氷河が将来的に消滅し、 キャンプ等の運営に必要不可欠な乾季の山体の河川水が枯渇すれば、 地域の観光産業に少なからず影響が及ぶことが考えられる。
タンザニアのモシにあるMwenge Catholic 大学を訪問し、Lihepanyama講師とキリマンジャロに関する共同研究を行うための打ち合わせをした。キリマンジャロの国立公園内で調査するための調査許可を取得するための準備を行った。また、ナイロビ大学のMwaura講師とも打ち合わせを行い、今後のケニア山とキリマンジャロにおける調査の計画を話し合った。 -
集落再編の国際比較と生活空間論による再考
2016年4月 - 2021年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
小島 泰雄, 金 どぅ哲, 佐藤 廉也, 今里 悟之, 作野 広和, 中川 秀一, 筒井 一伸, 磯田 弦, 中條 曉仁, 中辻 享, 吉田 国光, 小方 登, 山村 亜希
本研究課題の最終年度を翌年に控え、本年度末に東京の駒澤大学で開催されることになっていた日本地理学会2020年春季学術大会において、シンポジウム「農村変化と地理学―地域運営組織をめぐって」を企画した。本シンポジウムでは研究代表者と研究分担者7名の報告とコメント・総合討論を実施し、集落再編をめぐる農村変化の現状認識に関わる学術的な研究成果をひろく地理学界に公開する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、学術大会が発表予稿に基づく書面開催となり、実質的な議論は持ち越しとなった。コロナ禍は本科研メンバーのフィールド調査のいくつかについて実施を困難としたが、感染拡大までに臨地研究集会を実施できたことにより、上記のシンポジウムにつながる討論は順調に展開された。
まず7月下旬には鳥取大学コミュニティ・デザイン・ラボにおいて「地域運営組織の地理学的考察」をテーマとして本科研メンバーよるワークショップを実施した。また9月17日から19日まで韓国全羅北道の鎮安で、巡検を中心とした臨地研究集会を実施し、韓国農村で地域振興に取り組んでいる方々との対話を通して、日本と韓国の農村開発の類似と相違に関する認識を深めた。さらに12月には伊豆半島南部の農村開発の実践にかかわる臨地研究集会を実施し、周辺農村が向き合う困難な状況に向きあう現地の方々との交流に立脚した研究討論を行った。
このほか科研メンバーはそれぞれのフィールド経験を活かした調査研究を着実に進めており、例年のように多数の論著を公開している。 -
ラオス焼畑山村におけるウシ・水牛飼養の地理学的研究
2010年4月 - 2013年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
ラオスの焼畑山村におけるウシや水牛の飼養実態を地理学の立場から研究する.
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東南アジア大陸山地林の撹乱動態と山地民の生活環境保全
2009年4月 - 2014年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
ラオスの焼畑民の生計活動,土地利用,森林利用,健康問題などを林学,生態学,地理学,医学などの研究者により,総合的に考察し,今後のあるべき姿を模索する.
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ラオス焼畑山村における畜産業の地理学的研究
2007年4月 - 2010年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
ラオス山村の焼畑民によるウシ,水牛,ブタ,家禽などの飼養を地理学の立場から研究する.