論文 - 林 慶一
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教職課程における河成礫層の観察法のアップデート 査読あり
林 慶一
甲南大学紀要(理工学部編) 70 ( 0 ) 1 - 12 2023年3月
担当区分:筆頭著者
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地平座標での観測とそれを赤道座標へ変換する実習法の開発―教員養成課程の天文分野の実験として― 査読あり
林 慶一
地学教育 74 ( 3-4 ) 111 - 127 2022年11月
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研究者の研究過程を考慮した理科の探究活動とその指導の在り方 査読あり
原田和雄・松川正樹・吉野正巳・犀川政稔・佐藤公法・林 慶一・長谷川 正
科学教育研究 45 ( 3 ) 316 - 330 2021年10月
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紀伊半島の白亜系日高川層群地帯おける斜面崩壊と土石流の特徴 査読あり
林 慶一
甲南大学紀要 理工学部編 68 ( 1 ) 1 - 17 2021年10月
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地質図から地域の地史教材を開発する方法
林 慶一
甲南大学教職教育センター年報・研究報告書 2020年度 33 - 44 2021年3月
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オンライン授業環境下での地質野外実習法の開発〜Web 地質図を活用して川原の礫から地域地質を学ぶ〜 査読あり
林 慶一
甲南大学紀要 理工学部編 67 ( 1 ) 1 - 12 2020年12月
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天体の位置観測をする高校生や大学生のための易しい大気差表の提案 査読あり
林 慶一
甲南大学紀要(理工学編) 66 ( 1 ) 11 - 18 2019年9月
単著
出版者・発行元:甲南大学
天体の位置を観測する際には,天体からの光が地球大気によって屈折するため,観測された高度は真 高度よりも大きくなる.天文学の中で位置天文学が重視されていた時代や航海術で天文航法が中心となってい た時代には,観測高度を真高度に改正する方法は天文学や航海術の専門分野ではきちんと扱われてきた.しか し,天文学の中心が天体物理学となり航法が GPS などの測位衛星システムを利用する時代になった現在,専 門分野ではこの改正法が必要とされることはほとんどなくなり,専門書でも扱っているものは見当たらなくな ってしまった.一方,高校生や大学生が天体の位置を観測する機会は,理科教育における主体的な探究活動が 重視される中で以前よりも増えてきている.しかし,それらの研究発表では行った天体観測の精度に照らし合 わせると大気差を考慮する必要がある場合でも,それがなされているものはほとんど見当たらない.この原因 は,大気差を考慮しなければならないと認識しているにもかかわらず.その方法が日本語の文献や web 上で は存在しないために,補正の方法がわからないという状況に置かれているからである.本論では,意欲的な探 究を行う若い人達やその指導者のために,この困難を解消することを目的として,観測高度から真高度を求め るための易しく使いやすい大気差表を作成して提供した.
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林 慶一
甲南大学紀要(理工学編) 66 ( 1 ) 1 - 9 2019年9月
単著
出版者・発行元:甲南大学
篠山層群は非海成層であるため,海生動物化石の変遷に基づいて行われる本来の年代決定は難しい.このため非 海生化石による生層序確立の試みやさまざまな方法による放射年代の測定が行われてきた.その結果,白亜紀の Albian から Cenomanian にかけての山間盆地の河川成堆積物であることが明らかになっている.しかし,年代決定の方法が多様 であることやその難しさのために,現時点でも年代に関して議論が分かれていると考えられることもある.そこで,本論 文ではこれまでの研究で提示されたさまざまな年代論を,層序に関する最新の研究に基づいて,年代決定の試料の採集地 点と層準を明確にすることによって整理した.その結果,議論の混乱の原因には,年代データを提示した論文のいくつか で,他の年代データとの層準の比較ができるような精度での層準のデータまたは地理的位置の情報が不足していることに あることがわかった.また,地質学的な成果として,篠山層群上部の沢田層の下部と上部の付近に Albian/Cenomanian つまり前期白亜紀/後期白亜紀の境界があることなどが明確になった.
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新CSに導入された「土石流」と「斜面崩壊」の取り扱い方と課題
林 慶一
平成30年度日本理科教育学会近畿支部大会発表論文集 34 - 34 2018年12月
単著
担当区分:筆頭著者
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兵庫県篠山地域に分布する白亜系篠山層群の層序と古環境 査読あり
林 慶一, 藤田早紀, 小荒井千人, 松川正樹
地質学雑誌 123 ( 9 ) 747 - 764 2017年9月
共著
担当区分:筆頭著者
兵庫県に分布する篠山層群について,国際層序基準にしたがって下部を大山下層,上部を沢田層として定義した.篠山盆地に分布する篠山層群の地層は,7つの岩相に基づいて4つの岩相群にまとめられ,砂礫堆堆積物/放棄河道堆積物,流路州堆積物,氾濫原泥質堆積物,堤防決壊堆積物/自然堤防堆積物と解釈される.これらの岩相群の分布から,篠山層群の堆積環境は山間盆地で,周辺部から中央部にかけて河川流路から氾濫原へと移り変わる環境であったこと,堆積の初期には礫質河川の流路が卓越する環境で,その後氾濫原や自然堤防と堤防決壊堆積物の卓越する蛇行河川の環境へと変化したと解釈される.篠山層群を特徴づける赤色岩の粘土鉱物分析の結果,大山下層上部の氾濫原堆積物からカオリン鉱物が検出され,湿潤環境下での土壌化と解釈される.同じ堆積物中には乾燥気候の存在を示すカリーチも挟まれていることから,半湿潤〜半乾燥の環境が示される.
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紀伊半島の牟婁層群地帯で発生した国内最大規模の土石流と斜面崩壊の記載と発生過程の復元 査読あり
林 慶一
甲南大学紀要(理工学部編) 63 ( 1 ) 1 - 24 2017年2月
単著
出版者・発行元:甲南大学
平成23年(2011年)の台風12号は,紀伊半島で多数の大規模な土砂災害を誘発した.中でも四万十帯の牟婁相群の分布地帯では,紀伊半島の他のどの地質帯よりも破壊的で大規模な土石流が発生した.その特徴は,大規模な斜面崩壊により長径数mの礫岩・砂岩の巨礫を含む土砂が渓床に大量に滑落し,その一部が土石流となって長距離にわたって流下して,大きな被害をもたらしたことである.このような斜面崩壊とそれに続く破壊的土石流の発生後間もない状態は,その後の復旧作業によって多くが失われており,初期状態を記載して残すことは将来の研究だけなく,防災上も大きな意義がある.本稿では,この地域で最大級の土石流が発生した日置川水系の熊野(ゆや)川の源流部の熊野地区における崩壊斜面と土石流堆積物を調査して,それらの初期状態を記載した.また,この記載に基づいて土石流発生のメカニズムを考察して,大規模な土石流が発生した原因を明らかにし,斜面崩壊の発生から土石流の堆積までの過程を推定した.その結果,牟婁層群地帯では,礫岩・砂岩・泥岩が未固結の状態で付加作用を受けて激しく褶曲した際に,砂層・礫層は層内での側方流動により本来の層厚よりもはるかに厚い部分が生じ,それらが強固に固結したのち,斜面での深層風化により長径数m〜10数mの巨礫となっていたこと,そしてこれらが山腹の高い位置から滑落し,大きな位置エネルギーを大きな運動エネルギーに変え,また風化で生じた細粒物質が潤滑剤の役割を果たしたこともあって,高速で流下して遠方にまで達したことが明らかとなった.
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平成23年台風12号により那智川水系金山谷川で発生した斜面崩壊・土石流の発生過程の復元
林 慶一
甲南大学紀要(理工学部編) 61 ( 1 ) 1 - 28 2015年1月
単著
平成23年(2011年)の台風12号は,紀伊半島で多数の大規模な土砂災害を誘発した.中でも熊野酸性岩類の分布地帯では他のどの地質帯よりも高い面密度で土石流が発生した.その特徴は,源流部の崩壊が小規模であるにもかかわらず,土石流は長距離にわたって流下して,大きな被害をもたらしたことである.この原因を解明するために,熊野酸性岩類を構成する花崗斑岩の風化を,岩石レベルと岩体レベルで調べるとともに,この地域で最大級の土石流が発生した那智川水系の金山谷川について,崩壊斜面や土石流堆積物を地質学的に調査して,それらの発生から最終的な堆積までの過程を復元した.その結果,花崗斑岩地帯では,一般的な土石流と異なり,後発の土石流が渓床の先行土石流の堆積物や旧土石流堆積物を大規模に巻き込んで成長・加速したり,旧土石流堆積物を衝撃や荷重で再流動化させて,全体として大規模な土石流となることが分かった.
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富山—岐阜県境に分布する神通層群の堆積盆地の環境復元と発達 査読あり
松川正樹, 福井真木子, 小河佑太力, 田子 豪, 小荒井千人, 林 慶一
地質学雑誌 120 ( 6 ) 201 - 217 2014年6月
共著
岐阜・富山県県境に分布する神通層群は,9つの岩相に区分され,さらにそれらを複数組み合わせ岩相群として7つにまとめられ,それらの堆積環境が考察された.それらにより,庵谷峠層は堆積盆地の周縁部に発達し山地から押し出される扇状地,猪谷層は河川流路と氾濫原,白岩川層は氾濫原の環境が解釈される.庵谷峠層から猪谷層を経て白岩川層にかけて,神通層群の堆積盆地は南の有峰地区から北の常願寺川地区に移動したことが示される.これは,西南日本内帯地域の陸成堆積盆地の形成が,オーテリビアン〜バレミアンの美濃—丹波—足尾帯の付加体コンプレックスと秩父帯の付加体コンプレックスの直列配置が横ずれ運動により並列配置し,秩父帯の付加体コンプレックスの挿入により美濃—丹波—足尾帯が隆起し,それに伴い発達したことと関連した可能性があることを述べた.
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手取層群の分布域東部(富山・岐阜県境)の層序の再検討と神通層群(新称)の提案 査読あり
松川正樹, 福井真木子, 小河佑太力, 田子 豪, 小荒井千人, 大平寛人, 林 慶一
地質学雑誌 120 ( 5 ) 147 - 164 2014年5月
共著
岐阜・富山県県境に分布する中生界を手取層群と神通層群(心証)に区分した。そして,手取層群を会より真川層と有峰層,有峰層に対比される桐谷層に,神通層群を庵谷峠層,猪谷層,白岩川層に岩相層序区分しそうレベルの分布を地質図として示した。
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First report of the ichnogenus Magnoavipes form China: New discovery from the Lower Cretaceous inter-mountain basin of Shangzhou, Shaanxi Province, Central China 査読あり
Matsukawa, M, Lockley, M. G., Hayashi, K., Koarai, K., Chen, P., Zhang, H.
Cretaceous Research 47 131 - 139 2014年
単著
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河川の堆積物と周辺地形の学習への斜面崩壊と土石流の作用の導入
林 慶一
日本科学教育学会年会論文集 37 426 - 427 2013年9月
単著
担当区分:筆頭著者
近年の地質学や河川工学分野での野外調査研究で,河川上流部の河床堆積物や周辺の地形の 成因については,斜面崩壊と土石流による新斜面の形成と砕屑物の供給が大きな役割を果たしていることが明らかになりつつある。本研究では,平成 23 年に紀伊半島で多数発生した河川上流部での斜面崩壊と土石流の調査結果に基づき,河川学習で従来から用いられてきた流水の作用に 加えて,斜面崩壊と土石流の作用を適切に組み込む必要性を示した。
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戦後日本の小学校理科動物分野における内容の変遷
西田尚央,林 慶一
甲南大学紀要(理工学部編) 59 ( 1 ) 11 - 20 2013年1月
共著
戦後日本の小学校理科の生物学の動物分野について,その内容の変遷を追跡して,継続内容のほか新規および廃止された内容,それぞれの学年配当の変更などを,一覧表としてまとめ,その編成の背景を議論した。
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紀伊半島の四万十帯音無川層群における土砂災害の特徴
林 慶一
甲南大学紀要(理工学部編) 59 ( 1 ) 21 - 36 2013年1月
単著
担当区分:筆頭著者
2011年の台風12号による日本の観測史上最大の豪雨が誘因となった大規模な土砂災害の一つの和歌山県田辺市本宮町の奥番地区で発生した斜面崩壊について,崩壊斜面および崩壊堆積物の形状・地質を調査して,崩壊過程を解明した.他地域で発生した斜面崩壊と比較すると,極めて大規模な崩壊にも関わらず,土砂の流下距離が非常に短く,堆積物の厚さが厚いことが特徴であった.これらの特徴は,四万十帯の中では中程度に固結した,細粒の海溝充填堆積物からなる音無川層群の地質に起因するもので,音無川層群の分布域で発生した崩壊に共通することを明らかにした.
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日本海溝でのマグニチュード9クラスの地震をなぜ予想できなかったのか
林 慶一
甲南大学紀要(理工学編) 58 ( 1 ) 11 - 20 2011年12月
単著
担当区分:筆頭著者
平成23年東北地方太平洋沖地震が全く想定されていなかった原因を掘り下げ,沈み込み境界について地震学は地質学で進んでいた付加型と構造侵食型というような理解をほとんど受けれてこなかったこと、一方でわずか100年ほどの観測データだけから地震発生のメカニズムの中心理論としてのアスペリティ理論を無理をして作ってきたことにあることなどを論じた。
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高等学校での物理未履修学生に対する物理指導力育成の効果的方法
林 慶一,杉岡 俊男,森本 進
日本科学教育学会年会論文集 35 225 - 226 2011年8月
共著
担当区分:筆頭著者
理科教員を目指す学生の高等学校での理科の未履修領域についての指導力を向上させる目的で,理科教育法での模擬授業に実験を組み込むことの効果に着目し,教科書に登場する典型的な実験に科学的に徹底的に取り組ませるという方法を用いて,自然の事象を通して教育内容の意義を理解させた。その結果,物理領域の例では,高等学校で履修した学生と未履修の学生が行った模擬授業での評価で,その差がなくなるまでの効果があることが明らかとなった。