科研費(文科省・学振)獲得実績 - 須佐 元
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ブラックホール連星形成過程の理論的研究
2017年6月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
2015年9月以降に発見されたブラックホール連星からの重力波は、重力波そのものの重要性だけでなく、なぜこのような大質量のブラックホール連星が多く存在するのかという疑問を引き起こした。この研究はこのようなブラックホール連星が誕生する道筋を宇宙物理学的に解明しようとするものである。
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超金属欠乏星の観測と大規模シミュレーションによる銀河初代星の起源の解明
2017年4月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
宇宙初期に生まれた星はどのような過程で形成されたのか、それらは現在銀河系のどこにどれだけ残存しているのか。本研究は、これら古い星の探査観測を実行し、宇宙初期の星形成史、さらには階層的合体による銀河形成史を解明することを目的とする。そこで、銀河系にある恒星系から初代星としての超金属欠乏星候補を選択的に抽出するために、これらの星に特徴的な波長帯に合わせた狭帯域フィルターを製作し、すばる望遠鏡超広視野カメラHSC に装着して、銀河古成分恒星系(バルジ、ハロー、矮小銀河)の系統的な測光観測を実施する。そして、この観測によって得られる超金属欠乏星の統計解析を行い、初代星の形成理論と銀河形成論に基づいた大規模理論シミュレーション結果と比較検討することにより、銀河初期の星形成史を解明する。
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極初期宇宙における星形成の研究
2017年4月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
初期宇宙における星形成活動を理解することは現在の宇宙物理学において中心的テーマの一つである。今世紀に入って最初期の星形成については多くの理論的進展があったが, 1)降着円盤の分裂による小質量初代星の形成 2)乱流によって増幅された磁場中での初代星形成 3)第二世代の星形成 という問題がフロンティアとして残っている。これらはそれぞれ天文学的に重要な意味をもつ。1)は観測可能な初代星が存在するかもしれないことを意味し, 2)は初代星形成のパラダイムを根本的にシフトさせる可能性がある。3)は初期宇宙の星形成活動の「本体」というべきプロセスである。本研究ではこれら三点について数値シミュレーションの手法を用いて詳細に調べることを目的とする。
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輻射流体計算による初代星形成の研究
2013年4月 - 2016年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
宇宙で最初に生まれた星々(初代星)の誕生の様子を輻射と流体の効果を取り入れた数値シミュレーションによって調べた。その結果、初代星の質量は1-300倍の太陽質量の範囲に分布し、ピークは数十太陽質量程度であることが分かった。またいくつかの小質量星は多体の相互作用によってミニハローの外側に飛ばされ、結果として質量降着が進まずに軽いままであることがわかった。現在まで生き残ることができる0.8太陽質量 よりも軽い星が生まれたとすると、観測的にはミニハローあたり1個程度以上は生まれてはいけないという制限があることが明らかとなった。
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初期天体の輻射による宇宙論的種磁場形成の研究
2010年4月 - 現在
学術振興機構 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究では宇宙初期に生まれる明るい天体によって作られる種磁場の強度を調べ、その宇宙論的意義を明らかにすることを目的とする。宇宙の磁場は様々なスケールで確認されており、その起源については諸説がある。そのうち、輻射の異方性に起因する生成メカニズムについてはこれまで深く調べられてこなかった。特に初代星やクエーサーといった明るい天体は比較的強い磁場を作ると考えられる。この研究では現実的な物質分布を用いて輻射流体計算を行い、明るい初期天体からの放射がどの程度異方性を持つか調べ、その結果生まれる種磁場の大きさを見積もる。また輻射以外の生成プロセスも併せて考慮し、現実的にどの程度の磁場が生成されるのかを計算する。
また初期宇宙で生成される磁場は、初期宇宙の星形成プロセスに大きな影響を与えうる。求められた磁場の強度が星形成に影響を与えるかどうかは磁場と始原ガスとのカップリングの程度に強く依存する。初期宇宙の星形成の宇宙論的意義を考えると、この点も詳細に調べるべきであり、これも併せて研究していく。 -
初期宇宙の天体における降着円盤の研究
2005年4月 - 2007年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
第一世代星の一部はその一生の最後をブラックホールとして終えると考えられている。この研究はそのブラックホール周りの降着円盤の性質を調べるものである。
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第一世代天体中の初期質量関数とその矮小銀河への進化
2003年4月 - 2005年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 若手研究(B)
第一世代天体で誕生する星の質量分布と、それが現在の矮小銀河へ進化する過程を調べる。
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銀河形態分化における輻射輸送の役割の研究
2001年4月 - 2003年3月
学術振興機構 科学研究費助成事業 科学研究費補助金(奨励A)
紫外線背景放射の浸透の程度がどのように銀河形態の分化に寄与するかを調べる。